タニタの考える健康

女性特有のホルモンバランスとダイエット

2021.11.10


ホルモンバランスのリズムを知る

女性の心とからだはとても微妙なバランスで保たれています。女性のからだは、ホルモンバランスの変化によって、卵胞期、排卵期、黄体期、そして月経という4つの期間に分けられます。

 

この女性ホルモンは、卵胞ホルモンのエストロゲンと、黄体ホルモンのプロゲステロンの2種類。月経の周期は人によって20~40日と個人差がありますが、基礎体温を記録すると自分の女性ホルモンの周期やリズムがつかめるようになります。

月経周期が28日間の場合の身体のリズム


ダイエットに向いている時期はいつ?

月経が終わるころ、「卵胞期」の初期では気持ちが安定し、からだが軽く感じられ、肌や髪の潤いを実感しますが、これは女性ホルモン「エストロゲン(卵胞ホルモン)」の分泌が増えるためです。

 

エストロゲンは、排卵と妊娠への準備を促すために心とからだを整える役割を持ち、分泌量が上昇すると、別名「美人ホルモン」とも呼ばれることもあるように、肌や髪に潤いを与えるため女性としての美しさが増します。この時期は女性を惹きつける魅力にあふれた時期とも言われています。

 

排卵前まではエストロゲンの分泌が続くので、この期間がダイエットに適した「ダイエットチャンス期」になります。月経までのイライラやむくみがとれて、からだが軽くなり、気持ちも前向きになりますから、エクササイズやダイエットを集中的に頑張るには絶好の時期なのです。女性特有のこのリズムを上手に活用すると、効果的なダイエットができます。

より効果的に痩せるポイント

1.普段より運動量を増やしましょう。
普段の歩行量より1000歩増やすなど目標を決めて運動量を増やしてみましょう。特に排卵日直前は、筋肉量を増やすには最適のホルモンバランスになります。積極的に筋力トレーニングを取り入れましょう。

 

2.食事は3食をバランス良くしっかりと食べ、間食はいつもより減らしましょう。
毎食「主食」「主菜」「副菜」をそろえてバランス良く食べましょう。また、運動による脂肪燃焼効果を無駄にしないためにも、間食のコントロールは必要不可欠です。スリムな自分をイメージして、できるだけガマンしましょう。


ダイエットに不向きな時期

排卵後から次の月経までの「黄体期」は、心もからだも不安になります。イライラしたり、憂鬱になりやすかったり、甘いものが欲しくなったり、疲れやすく、手足の冷えや下腹痛を感じたりと、個人差はありますが不安定になりがちな時期です。これは、受精卵を着床しやすくするなど、妊娠や出産に欠かせない役割を持つ女性ホルモン「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の分泌がさかんになるためと言われています。

 

この影響を受けて、食欲のコントロールがしにくくなり、からだに水分をためこむ傾向になるため、むくみやすく、体重が増えやすくなるのです。この黄体期には、肌が乾燥したり、化粧のノリが悪くなったりと、美容面にも影響を及ぼすと言われています。妊娠した状況に備えて自分自身への防護が高まる傾向があり、心もからだも不安定なため、この期間は無理をしない「リラックスおすすめ期」と言えます。

 

イライラしたり、憂鬱だったりとストレスを感じる時期ですから、自分にとって気持ちいいことや好きなことをして気分転換し、なるべく休養をとるようにしてください。無理なダイエットやストレスになるような過激な運動は、女性のからだに大きな負担となるので、できるだけ避けたほうがよいでしょう。(運動することが好きで気分転換になる方なら、この時期に楽しく運動することは大変よいことです)


甘いものが欲しくなるのは「セロトニン」不足?

前述したように、月経前は気持ちも不安定になりがちです。これにはさまざまな要因があるのですが、とくに月経前には気持ちの安定に大きく影響を及ばす「セロトニン」という脳内分泌物が減少することも一因とされています。

 

セロトニンは、脳内のさまざまな神経伝達物質に働きかけ、主に二つの機能を持っています。

 

ひとつは、「精神を安定させる役割」、もうひとつは、満腹感を与え「食欲を抑制する作用」です。「むしゃくしゃするから、とにかく食べて発散しよう」と考えるのは、セロトニンが不足している可能性が高いと考えられます。

 

つまり、精神が不安定で食欲の抑制がきかないため、甘いものや過食に走ろうとするわけです。なぜ「甘いもの」なのかといえば、これらを食べると一時的にセロトニンの分泌が増え、気持ちが落ち着く作用がある為です。この状態をからだが覚えてしまい、セロトニンが不足すると、特に甘いものへの欲求が強くなると言われています。

 

女性は男性に比べて、もともとセロトニンの脳内物質が少ないので、不足すると情緒不安定になったり甘いものを中心とした過食に走りやすくなったりする傾向があるといわれています。しかも月経前の体調不良期には、脳内のセロトニン分泌量が低下するだけでなく、その伝達まで妨げられるとも言われ、さらにこの傾向が顕著になります。ダイエットをするなら、「イライラしてきた」と思っても、そのたびに高カロリーの甘いものや過食に走るのではなく、運動等でセロトニンの分泌を増やすことを心がけてみましょう。

ストレス回避に(セロトニン分泌によい)効果的なポイント

1.からだを動かす

一定のリズムで刺激がある運動が効果的です。
具体的にはウオーキングやリズミカルな掃除機やモップがけなどがよいですね。運動する時間がないなら、座ってでもできる首回し体操も効果的。ゆっくり、深く呼吸しながら首を回しましょう。

2.「トリプトファン」を摂取する

セロトニンをつくりだす原料となる必須アミノ酸トリプトファンを摂取することも有効です。 これを多く含む「牛乳」や「チーズ」、「バナナ」、「大豆」、「マグロなどの赤身の魚」などを摂るのもよいでしょう。

3.よく眠って太陽の光を浴びる

良質な睡眠をとることでセロトニンの分泌量は増加します。
また、起きたあとに太陽の光を浴びることで体内時計がリセットされ、不規則な睡眠によって減少しがちなセロトニンの分泌が正常に戻ると言われています。

4.気分転換&リラックス

ラベンダーやローマンカモミール、マジョラムなどの香りはリラックス効果があり、セロトニン分泌にもよいとされています。
よい香りで気分転換しましょう。


なぜ女性はからだのリズムを大切にしなくてはいけないの?

女性にはホルモンの影響によりさまざまな症状があることは前述のとおりです。

 

このホルモンのリズムを無視して無理なダイエットなどをすると、逆に「やせすぎになる」という問題もあります。最近の若い女性はダイエットや偏食などにより「やせすぎ」傾向にあります。(BMI18.5未満の低体重(やせ)が20~29歳女性の20.7%/厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」)

 

この結果、女性ホルモンの機能が低下し骨量の減少、月経周期の乱れや遅れ、停止などの影響が出て、妊娠・出産という大切な女性の機能が働かなくなる場合も出てきます。ダイエットをする場合は適正範囲の体脂肪率を心掛け、健康で女性らしいボディラインを保つことが大切です。

 

女性のからだはデリケートです。自分のからだのリズムを知ると無理のないダイエットができます。ダイエットチャンス期を逃さずに効果的なダイエットを行いましょう!

  • 本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。内容は予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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