タニタの考える健康

健康的に体重を減らすには

2021.11.10


なぜ太ってしまうのか

健康的に体重を減らす前に、なぜ太ってしまうかを知っておきましょう。単純に考えれば摂取エネルギー量(食べる量)が消費エネルギー量(運動する量)より多くなってしまっていることが原因です。
「摂取エネルギー」とは、食べることで体内に取り込まれるエネルギーのこと。「消費エネルギー」とは、生命維持や日常の活動・運動などで使われるエネルギーのことです。摂取エネルギーが消費エネルギーより小さくなれば、誰でもやせていくはずです。

 

では、なぜ肥満になってしまうのでしょうか? それは、生活環境の変化にその多くの要因があります。食生活においては24時間食べ物が手に入り、生活環境においては歩く機会が減り、運動量が減っています。無意識のうちに摂取と消費のバランスが崩れてしまっているのです。肥満を解消するためには、日常生活を見直し、肥満の原因を探してそれを取り除く「正しい生活習慣」を身につけましょう。


体重の数値を減らすことを目的にしない

体重が少ないことが健康なのでしょうか?肥満の基準は、体重の多い少ないではなく「からだに占める脂肪の割合」=「体脂肪率」で決まります。
医学的に肥満とは「単に体重過多を指すのではなく、からだを構成する成分のうち、脂肪組織の占める割合が異常に増加した状態」と定義づけられています。体重が同じでも、スポーツなどで体を鍛えて筋肉の多い人とそうでない人の体脂肪率が同じであるはずはないのです。体重を重くしているのが筋肉や骨であれば、その人は肥満と判断されません。このため、体脂肪率の値が重要となります。

体脂肪率測定表(対象年齢6~99才)

  • WHOと日本肥満学会の肥満判定に基づき体脂肪率を区分しました。
  • 小児の判定基準は日本肥満学会小児肥満症マニュアル作成委員会の肥満度判定に基づき、体脂肪率を区分しました。
  • 妊娠中や人工透析中の方、またはむくみ症状がある方は、参考値として変化の推移を見られることをおすすめします。

健康的に体重を減らすには

健康的に体重を減らす為には、「脂肪を減らすことで体重を減らすこと」が大切です。このためには食事と運動のコントロールが基本になります。急激な減量はからだに負担が大きいだけでなく、拒食症や貧血、月経の異常といったさまざまな弊害を誘発する可能性があります。減量は「ゆっくり」がコツ。大切なのは体重を一時的に減らすことではなく、長期的に見て脂肪が減少した状態を維持することです。


健康的に体重を減らすためのポイント

1.朝・昼食はしっかり、夕食は軽く

食事のポイント

朝食を抜いたり、習慣で朝食を食べない、という場合、前日の夕食から昼食の間までに間が空いてしまい、その後に食べ物が入ってくるとからだはよりエネルギーを蓄えようとします。朝食を抜いたり、その分を補う為に夕食に食べ過ぎてしまうのは、わざわざ太りやすい習慣をつくっていることになります。朝食、昼食をしっかり摂って、夕食を軽く摂ることを習慣づけましょう。

2.食事はゆっくり、良く噛む

満腹感は脳内の満腹中枢でコントロールされています。満腹中枢は、脳の中に送られる糖分によって働き、食欲をおさえます。この満腹中枢は食事の開始から20~30分くらいで作用し始めます。ゆっくり食べることで胃が満腹になる前に脳に送られる血液中の糖分が上昇するので、食べ過ぎることが無くなります。よく噛まずに早食いすると、満腹中枢が作用する前に食事が進んでしまうため、どうしても必要以上に食べてしまうことになるのです。

 

また、よく噛んで食べることで食べ物が体内で効率よく消化吸収されます。料理はよく味わうだけでなく、「一口ごとに箸を置く」「小さなスプーンを使う」「お茶などを飲みながら食べる」などの工夫をして、少なくとも20分程度をかけてゆっくり食べましょう。

3.量よりも品数を多く

健康づくりには栄養バランスのよい食事を摂ることが必要です。人間が必要とする栄養素は、それぞれに1日の必要量が決まっていますので、どれが不足してもからだによくありません。野菜だけ、果物だけ、といった極端に偏った食事をしていると体に不調をきたしたり、病気を発症したりといった弊害が起きる可能性があります。
バランスのよい食事を摂ることで、からだがそれ以上余分な食べ物を欲しがらなくなり、自然に食欲を抑えることができます。

 

また、新陳代謝も活発になり、脂肪がたまりにくいからだになっていきます。食品の数量を多くするのは、自然に栄養のバランスのとれた食事ができるようにするためです。まずは、1日に何品目食べているか数えてみましょう。

4.薄味、腹八分目に慣れる

味付けでからだにやさしいのは薄味です。濃い味付けのおかずは、単に塩分量が多くなる以外にごはんやお酒が進みがちになり、高血圧や心臓病の原因にもなります。塩・しょうゆ・みそなどの調味料をできるだけ抑えるのは健康面からのからだに優しい食べ方です。


また、もう一口食べたいところで箸を置きましょう。ほんの一口でも、度重なると肥満の原因になります。仮に一口を20kcalとしてこれを毎日余分に食べ続けると、1年で約7200kcalのエネルギーがオーバーとなります。これは脂肪1kgに相当してしまいます。

運動のポイント

1.有酸素運動はできる範囲で少しずつ

有酸素運動はエネルギーとして脂肪が燃焼しやすい運動です。少し早めのウオーキング、ジョギング、水泳、自転車こぎなどがこれにあたります。運動する時間が長くなるにつれ、脂肪組織の中性脂肪が分解し、その遊離脂肪酸が主なエネルギー源として使われることで脂肪が消費されます。


これらの運動は20分以上続けないと脂肪が消費しないと思われているようですが、短い時間でも運動の効果はあることがわかってきています。5分・10分とこま切れになっても構わないので、ライフスタイルに合わせてできるところから始めましょう。

2.筋力トレーニングで脂肪燃焼効率アップ

有酸素運動だけではなく、筋力トレーニングも併用するとより効果的です。有酸素運動で脂肪をエネルギーとしてしっかり消費し、筋力トレーニングで筋肉をつけることにより、エネルギーを消費しやすいからだ(脂肪がたまりにくいからだ・太りにくいからだ)に変わります。


体脂肪率や筋肉量は一朝一夕では変化しませんが、継続してトレーニングを行うことでからだは確実に変化します。腹筋、腕立て伏せ、ダンベル体操などの筋力トレーニングを加えることで、バランスのよい運動になり、脂肪消費の効率もアップします。
まずは習慣づけることが何よりですので、少しずつ、あきらめずに励みましょう。

3.運動の楽しさ・心地よさを感じる

運動の効果が現れるまでには、ある程度時間が掛かります。「なかなか体重が減らない」と結果ばかりを求めるのではなく、からだを動かすことの楽しさや心地よさを感じることが大切です。続けることにより、からだは確実に変化していきます。自分自身の小さな変化に目を向けましょう。


また、運動中に痛みを感じた場合は注意が必要です。痛みはからだが発している危険信号です。痛みが出るような運動を続けることは危険です。痛みが出た場合は、ひとまず休んで他のやり方にするか、医師や運動の指導士に相談しましょう。

その他のポイント

1.規則正しい生活

規則な生活を続け、朝食をとらずに出掛けたり、深夜にたっぷり食事をとったりしていると体内のエネルギーバランスが崩れます。食べなかったり、食べ過ぎたりという不規則を避けるには本人の自覚も必要ですが、まずは、生活そのものを規則的にするよう心がけることが大切です。生活のリズムを整えることで、食事のリズムとバランスを整えることができます。

2.毎日体組成をはかる

適正体重を維持するためには、体組成を毎日測るようにしましょう。感覚では脂肪や筋肉の増減はなかなかつかめないものです。計測を続けることで減量への意識付けができるばかりでなく、自己管理にも役立ちます。毎日の生活記録をつけることで、見えない反省点が見つかります。

3.ストレスをためない

現代社会でストレスがまったくないという人は、ほとんどいません。ストレスを上手にコントロールすることが大切になります。
イライラしたときに甘いものが食べたくなることもストレスと関係があります。脳内ホルモンにセロトニンという物質があり、この物質は不安を鎮め、落ち着かせてくれる働きがあります。セロトニンの濃度は糖分を摂取することで上昇します。このため、ストレスを感じたときに、甘いものが食べたくなるのは、セロトニンの濃度を上昇させて心を落ち着かせ、ストレスを軽減しようとしていると考えられます。
しかしながら、誘惑に負けて食べ過ぎると自己嫌悪に陥り、ストレスがさらに増します。

 

食べることだけではなく、あなたを悩ませる問題について、家族や友達と話し合ってみるのもひとつです。音楽、旅行などもストレス解消には効果的です。栄養バランスのよい食事や適度な運動もストレスを減らす効果があります。

  • 本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。内容は予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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