加齢によるからだの変化
人間は年を重ねることで様々な部分が変化します。この変化を把握し、対策することで年齢に負けないからだを作ることが出来ます。

年齢を重ねると「からだのかたち」が変化する?

年代ごとに体形が変わってくることは皆さんもなんとなく感じているのではないでしょうか。

年齢とともに体形は変化し、脂肪がつきやすいからだになっていきます。これは基礎代謝量が減っていくためで、以前と同じ生活運動をしていても消費カロリーが少なくなってしまうからです。しかし食べる量は以前と変わらないとカロリーの摂取と消費のバランスが崩れ、体形が崩れていくというわけです。

加齢によって変化する部分は年代や性別により様々です。具体的な変化傾向を見て、対策を考えていきましょう。

「年齢とともに太りやすくなる」は本当

1日の総消費エネルギー量の内訳加齢とともに減少する「基礎代謝量」。

基礎代謝とは心臓を動かしたり呼吸したり体温を保つなど「生きていることを維持するため」に必要なエネルギーで、「ゴロ寝していても絶えず使い続けているエネルギー」のことです。

この基礎代謝は24時間絶え間無く使われ続け、1日の総消費エネルギーのうち、なんと「7割以上」も占めているのです。

基礎代謝量(平均値)の年齢変化

このため、「痩せやすく太りにくいからだ(エネルギーをたくさん使うからだ)」であるためには「基礎代謝が高いこと」が絶対条件なのですが、この基礎代謝は、男性で18歳くらい、女性では15歳くらいをピークにその後は年齢とともにどんどん低下します。

からだが成長する時期を過ぎてある程度からだが完成してしまった後は、「維持」のエネルギー以外は必要なくなり、徐々に老化も進んで細胞の生まれ変わりのサイクルが遅くなり、エネルギーをたくさん使う筋肉も減ってしまうからです。

脂肪は年齢と共にお腹に集まる?

【図1】をご覧下さい。このグラフは「全身の脂肪を100とした時、何%が体幹部についているか」を年代別に表したものです。男女とも加齢とともに体幹部への脂肪の分布(内臓脂肪も含む)がどんどん増えているのがわかります。

体幹部というとほとんどが腹部です。50歳以上になると男性では全身の脂肪のうち6割以上が主に腹部についていることになります。女性でも30代を超えると5割以上の脂肪が腹部に分布しています。ある程度年齢を重ねた人は、全身の体脂肪率があまり高くなくても、腹部の脂肪分布が増えている可能性が高く、その中でも特に内臓脂肪が増える傾向があります。

加齢による体幹部脂肪の分布変化

加齢による内臓脂肪面積の変化

しかも、腹部の脂肪や内臓脂肪が多くなると血中脂質や血圧が高くなりやすくなり、メタボの危険性が高まります。その上、肝機能への影響も出てくることが統計的にもわかっています。30代以上の方は全身の体脂肪率が高くなくても油断は禁物です。お腹の脂肪が気になり出したら見た目 だけでなく健康的にも注意が必要です。1)2)

男女別の加齢変化傾向

加齢と共にお腹周りに脂肪がつき、メタボの危険性が高まるというのは男女共通の変化です。しかし元々男女の体型や体組成・脂肪分布は異なり、加齢による変化にも男女差があります。ここでは男女別の変化の特徴を見てみましょう。

男性:「腕・脚の筋肉量減少」
男性で加齢により増えてしまいがちなのは「お腹の脂肪」で、これは確かなことなのですが、男性にとって脂肪よりも変化が目立つのは実は「筋肉」なのです。

男性は 元々女性よりも筋肉量が多く、体重が重くても脂肪率は低い傾向があるのですが、その筋肉量は加齢による減少変化がとても大きいのです。特に腕と脚は顕著にその傾向が表れています。加齢による腕と脚の筋肉量減少は統計的にも明らかです。

このように男性は加齢による筋肉量の減少が大きいので、たとえ体重はそんなに増えて無くても、脂肪の割合(体脂肪率)が増えてしまっていることも多いのです。

女性:「上半身の脂肪増加」
女性は筋肉量よりも脂肪の付き方に特徴があり、男性よりも顕著な変化傾向があります。

【図4】をご覧下さい。30歳未満の若い年代の女性は腕や体幹部の脂肪率が低くて脚(臀部も含む)の脂肪率だけが高くなっています。若い世代の女性 は太腿や臀部などの下半身は脂肪が多いのですが、腕やお腹など上半身は脂肪が少ない傾向にあります。ところが30代以降はだんだん腕や体幹部の脂肪率が高くなり、50代以上になると、全身が均一な脂肪率に近付きます。

つまり、若いうちは細かった腕やお腹などの上半身にも年齢とともに脂肪が つきはじめ、50代ごろには全身に脂肪がついて全体のかたちが丸くなるという傾向にあります。

女性の年代ごとの部位脂肪率バランス変化

「若々しく見える体形」とは・・・?

では、「若く見える体形は?」というと、加齢変化とは逆に若い世代の平均的な体形特徴を参考にすると答えが見えてきます。

◎男性:全身の脂肪率は低いが筋肉量が多いので細くはなく、特に腕や脚はガッチリしており、お腹はまだ脂肪が少なく締まっている。

◎女性:ウエスト周りや腕、肩は細く華奢ですが、腰周りや太腿には脂肪が付いていて健康的。

絵でイメージしてみると【図5】のような感じでしょうか。若い世代は筋肉のつき方や脂肪の分布に男女差があって体形も男女で大きく異なりますが、年齢を重ねると男女差があまり見られなくなって男女とも「丸くなる」傾向にあります。

若い世代からの体形変化イメージ図

加齢変化に負けず「脂肪を消費しやすいからだ」を維持するには

それでは、年齢による基礎代謝量の低下に負けず、できるだけ若い頃の体重・体脂肪率・筋肉量を維持するためにはどうすればよいのでしょうか。年々低下する基礎代謝量を意識して摂取エネルギー(カロリー)を減らせばエネルギーが余ることを防げますが、これには注意が必要です。

バランスを考えず「食べる量全体」を減らしてしまうと、筋肉を作る「たんぱく質」や「代謝を促進するビタミンやミネラル」まで減ってしまい、このような状態が続くと加齢変化以上に基礎代謝量が減ってしまうからです。そしてリバウンドしてはまた食事量を減らして更にいっそう太りやすくなる、という悪循環に陥りやすくなってしまいます。

こうならないためには「低カロリーでもたんぱく質やミネラルが豊富な食事をし、基礎代謝量を増やすために筋肉を意識して使う」ということが必要です。
具体的には以下のポイントが挙げられます。 また、変化する基礎代謝を把握するには体組成計での計測がおすすめです。「基礎代謝判定」で「脂肪が消費しやすいからだになってきた」「“脂肪の消費しやすさ”が維持できている」ということがわかります。

ただ、ここで注意が必要なのは体重が減ると、今までその重さを維持していた分の基礎代謝量も減ってしまいますので基礎代謝の数値そのもので変化を見るのではなく、「体重1kgあたりの基礎代謝(基礎代謝基準値)」で判定している「基礎代謝判定」の変化を見ることです。しっかり筋肉を維持して脂肪が減った場合は基礎代謝量そのものは減っていても体重1kgあたりの基礎代謝量は必ずアップしますから、「基礎代謝判定」には努力がしっかりと反映されますので、これを目安に運動・食事の管理を行ってみてください。


脚注:
1)阪本要一、西澤美幸、三浦順子、大森雅久、池田義雄.(2000),「Segmental Bioelectrical Impedance Analysisによる体組成部位別測定とその臨床的有用性について」産業衛生学会誌,Vol45, p252
2)阪本要一、西澤美幸、下村美由紀、佐藤等、池田義雄(2001)「内臓脂肪面積測定に関する研究(第二報:臨床的検討)」第42回日本人間ドック学会講演抄録集,p167
3)西澤美幸「計ることでデザインできる、女性たちのライフスタイル」POLA研究広報誌No.45,「美の時間軸」

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