睡眠

睡眠について知ろう

2021.10.01

睡眠の質と肥満との関係について解説します。


なぜタニタが「睡眠」なのか

タニタは「肥満の予防と改善」というアプローチで健康づくりに役立つ商品開発や研究を行っています。この中で「休養」(睡眠)は、食事と運動と並んで肥満や健康と密接な関係があることが分かっています。
また、厚生労働省が推進している「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」でも休養に関する項目が取り上げられ、「十分な睡眠による休養の確保」が目標に挙げられています。
そこでタニタは健康をトータルサポートするために、睡眠についても研究を始めました。


睡眠と肥満の関係

米国の大学の研究で、睡眠時間が短いと肥満になりやすい、という研究結果が発表されました。
睡眠時間が短いと食欲を促進するグレリンというホルモン物質が多く分泌され、また食欲を抑制するレプチンというホルモン物質が減少します。これにより食欲を抑えられず、摂取カロリーが増大することから肥満につながってしまいます。このほか、血糖値が高くなり動脈硬化を早める中性脂肪が増加し、動脈硬化を防ぐ作用がある善玉コレステロールが減少するといった報告もあります。
逆に睡眠時間が長すぎても同じような傾向にあるという研究結果も出ていて、睡眠時間が短くても長くても生活習慣病の発症リスクを高める可能性があります。
ちなみに睡眠時間が平均して7時間前後の場合がもっとも生活習慣病になりにくいという研究結果があります。
しかし、これはあくまでも統計に基づく研究結果であり、すべての人が必ず7時間眠らないといけないというわけではありません。適切な睡眠時間は人によって異なります。例えば、7時間の睡眠をとっても日中に眠くなったり疲れを感じるようなことがあれば、それは適切な睡眠時間ではない場合や睡眠の質が低い場合があり、健康に悪影響を与えてしまう可能性があります。このため、睡眠は時間のみならずその「質」も重要な要素となります。


自分の睡眠の状態を知るには

睡眠時間は、寝入ってから起きるまでの時間と、実際にからだと脳が休息して眠っていた時間の2種類あり、これらは異なる場合があります。この実際に眠っていた時間の割合を睡眠効率と言い、睡眠の質を表す1つの指標となります。
また、睡眠の状態は一律でなく、深い眠り・浅い眠りの状態があります。入眠直後の深い眠りの時に成長ホルモンが分泌され、この成長ホルモンは日中にキズついたからだの組織の修復や疲労の回復、成長期ではからだの成長を促します。しかし、眠りが浅いとこのホルモンの分泌が少なくなり、一日の疲労が十分に回復しないため、このような状態が続いてしまうと健康を害してしまいます。
この睡眠の深さを知る方法には、専門外来やクリニックなどで行われる終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)がありましたが、こちらはいつでも手軽に受診できるようなものではありませんでした。
そこでタニタは、家庭でも簡単に睡眠の時間や深さなどの睡眠の状態をはかることのできる「睡眠計」を開発しました。


睡眠計でわかること

睡眠計は自分では把握することが難しい睡眠の状態を計測することができます。前述した睡眠時間と睡眠効率、睡眠の深さなどをはかることができます。
測定結果は、睡眠の深さの変化を示す「睡眠ステージ」、睡眠の状態を客観的に評価した「睡眠点数」や「睡眠タイプ」、睡眠タイプ毎の「快眠アドバイス」のほか、睡眠に関する数値の標準値との比較を行える「分析結果」、いつ寝ていつ起きたかと睡眠の長さを視覚的に示した「睡眠日誌」、毎日使用することで日々の睡眠時間・睡眠点数の変化を把握できる「推移グラフ」など、さまざまな角度から睡眠を分析することができます。

人の行動や活動が毎日違うように睡眠の状態も毎日変化します。睡眠点数も上がったり下がったりしますが、一日一日の点数の変化に一喜一憂するのではなく、長期的に使用して、推移グラフで睡眠点数の推移を捉えることを推奨しています。一定の睡眠点数をキープできているのか、上昇傾向なのか、もしくは下降傾向なのか確認することで日々の生活習慣が睡眠にどのような影響を与えるかが分かってきます。
また、メモ機能もあり、普段とは違った行動やイベントがあった場合、記録を残すことができます。さらに睡眠に関係する飲酒、運動、昼寝、病気の4つのチェックボタンもあります。これらを記録することにより、生活習慣の睡眠に与える影響をより具体的にとらえることが出来ます。
例えば睡眠点数が下がって来た場合の振返りに使用して生活習慣を元に戻すきっかけとすることや、快眠アドバイスを参考にしてより良い睡眠をとるためのサポートに使用することができます。


睡眠計の精度

 睡眠を評価するには、正しく睡眠の状態をはかる必要があります。
睡眠計は寝具上の人のうごきを高精度体動センサーで検知し、タニタ独自の技術で呼吸、脈拍、体動の3つの信号を抽出します。この信号を用いて睡眠の深さを判定するアルゴリズムを開発しました。
睡眠の専門外来やクリニックなどで行われる睡眠測定の方法に、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)がありますが、このPSGと比較し睡眠計は十分な精度があることを確認しました*1,* 2。
また、睡眠の状態を評価するには、睡眠の深さである睡眠ステージを見るのが一般的ですが、情報量が多く、専門知識の無い一般の方での判断は難しいという課題がありました。そこでタニタは多くの研究データを元に睡眠の状態を総合的に点数化し、直感的にとらえることが出来る指標として「睡眠点数」を開発しました*3。
 これにより、今まで家庭で難しかった睡眠の測定を手軽に行え、自分の睡眠状態を客観的に、かつ簡単に把握することが可能となりました。

  • 1 山本他、“マット型睡眠計の有用性に関する検討”、睡眠医療6巻3号(2012年)、pp.473-480
  • 2 山谷他、“睡眠をはかる ~マット型睡眠計の信頼性と有用性の検討~”、日本睡眠学会第36回定期学術集会(2011年 京都)
  • 3 吉井他、“マット型睡眠計の開発と睡眠点数を用いた睡眠状態の評価”、睡眠医療6巻2号(2012年)、pp.361-365
  • 本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。内容は予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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