運動

効果的に脂肪を燃焼させる方法

2023.05.29

ダイエットに関する情報を探していると、たびたび目にする「脂肪燃焼」という言葉。当たり前に使われている言葉ですが、改めて考えてみると「脂肪が燃えるってどういうこと?」と首を傾げたくなる方も多いのではないでしょうか。 今回はそんな「脂肪燃焼」の基礎知識やメカニズム、具体的な方法について、タニタで体組成のデータ研究や新商品開発などに取り組む開発部の長屋がお伝えします。

回答者プロフィール

株式会社タニタ 開発部 生体科学課 長屋 衛

2022年入社。学生時代は、人間の動作に伴う筋肉の動きをシミュレーションするソフトを用いた研究に取り組む。その中で培った生理学の知識を活かすべく、タニタに入社。現在は、さまざまな実験結果や体組成データの解析や考察、新商品の企画などを担当している。


Q1 「脂肪が燃焼する」ってどういうこと?

A. 中性脂肪を「分解」し、エネルギーに変えて「消費」することです。

脂肪燃焼とは、体内の中性脂肪を「分解」し、エネルギーに変えて「消費」すること。つまり「脂肪燃焼」には、「分解」と「消費」の2つのステップがあるということを、まず理解していただきたいと思います。

脂肪燃焼のステップ1:分解

私たちのからだには、中性脂肪の貯蔵庫(白色脂肪細胞)があります。

食事からの摂取エネルギー>消費エネルギーとなった場合、余ったエネルギーは中性脂肪としてこの貯蔵庫に蓄えられる仕組みになっています。お腹やお尻・二の腕などに脂肪がつきやすいのは、それらの部分に中性脂肪の貯蔵庫が多く存在するためです。

 

一度貯蔵された中性脂肪はそのままでは減らせません。まずは「分解」して血中に放出するというステップを踏まなければなりません。

この「分解」を始めるには、運動などによって“からだがエネルギーを必要とする状態”にする必要があります。また、「分解」には多くの酸素を使用します。
 

脂肪燃焼のステップ2:消費

「分解」された中性脂肪はやがて筋肉に送られ、主に運動することでエネルギーとして「消費」されます(具体的な方法は続くQ2でご紹介します)。


Q2 効果的に「脂肪燃焼」する方法は?

A. 最も効果的なのは、合計で20分以上の有酸素運動をすること。あわせて、筋肉量を増やすことも意識してください。

脂肪を燃焼するには、有酸素運動を行う、また筋トレや体を温めることで基礎代謝量のアップを目指したりするのが効果的です。

脂肪燃焼の方法1:有酸素運動

ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動では、初めの約20分間は食事から摂取した糖質がエネルギーとして使われやすく、それを越えると体内の中性脂肪が主として使われるようになります。つまり、有酸素運動の開始から約20分が経つと、“からだがエネルギーを必要とする状態”になり、中性脂肪の「分解」と「消費」が活発になるのです。


さらに、有酸素運動はその名前のとおり、常に体内に酸素を取り入れながら行うものです。中性脂肪の分解に必要な酸素が絶えず供給され、エネルギー源に変換されやすい条件も整うので、脂肪燃焼に最適な方法といえます。

 

「でも、20分以上続けて運動するのはハードルが高い」と感じる方は、1日の中でこまめにからだを動かして、運動時間が合計20分を超えるようにしてもOK。

数年前までは「有酸素運動は20分以上続けないと意味がない」といわれていました。しかし、その後の研究などで運動時間が合計で20分を越えれば、脂肪燃焼に効果的であることがわかってきました。つまり、10分の運動×2回、5分の運動×4回でも、脂肪燃焼をスタートできます。

また、運動強度は少し汗ばむ程度が効果的ですが、それよりも重視したいのは時間。散歩でもいいので、合計で20分以上動くことを意識してください。

 

ただし、一度運動をした後、次の運動までの間に食事をとると、再び糖質がエネルギー源となります。より効率よく体内の中性脂肪を燃焼させたいときは、運動と食事のタイミングを考慮するのがポイントとなります。

脂肪燃焼の方法2:筋肉トレーニング

脂肪燃焼に最も効果的なのは有酸素運動ですが、これに筋肉トレーニングも組み合わせるとさらなる効果が望めます。有酸素運動と筋肉トレーニングの組み合わせは理想的といっても過言ではありません。


筋トレのエネルギー源は主に食事からとる糖質であり、筋トレ自体が脂肪燃焼に大きく貢献するわけではありません。しかし、筋肉量が多いと中性脂肪を消費しやすいからだになります。分解された中性脂肪は筋肉で消費されるだけでなく、基礎代謝によっても消費されることがその理由です(基礎代謝量は筋肉量が多いほど増えます)。

 

筋トレの具体的なメニューとしては、初心者の方には自重トレーニングがおすすめ。特に、下半身の大きな筋肉を鍛えられるスクワットがいいでしょう。

「つらい」と感じるくらいを目安に挑戦してください。筋トレには●分以上続けないと効果がないというしばりはありません。

脂肪燃焼の方法3:基礎代謝量のアップ

脂肪燃焼のためには“からだがエネルギーを必要とする状態”にする必要がありますが、基礎代謝を上げることもそのサポートになります。
基礎代謝量は、筋トレだけでなく、からだを温めることでも上げられます。湯船に毎日つかるようにするほか、ストレッチをする、生姜をはじめとしたからだが温まる食品をとる、反対に冷たい飲み物は避けるなどして、基礎代謝量のアップを意識してみてください。


Q3 食事で「脂肪燃焼」をサポートできる?

A. 脂肪燃焼に必要な筋肉をつくるたんぱく質を十分にとりましょう。また、中性脂肪を蓄積させないためには、食後の運動がおすすめです。

Q2でお伝えしたとおり筋肉量が多いと脂肪燃焼しやすくなるので、食事では筋肉のもととなるたんぱく質を特にしっかりとってください。


また、中性脂肪をできるだけ増やさないためには、食事は運動前にとるのがおすすめです。食後に運動することで、食事でとった糖が中性脂肪に変換される前にエネルギーとして消費できます。
ただし、食後すぐに激しい運動をしてしまうと消化不良を起こす可能性があります。食事から2時間以内を目安に運動すればよいので、食べ終わった直後に慌てて運動を始める必要はありません。ランチを食べて一服してから散歩をするなど、くれぐれも無理にない程度にしてくださいね。


Q4 脂肪が燃焼しているサインはある?

A. 手首や足首の肉づきに変化があったら、順調に脂肪が燃焼しているサインです。

体脂肪率の変化は体組成計ではかれば数値で知ることができますが、自分自身の目で確認したい場合は、手首や足首の変化をチェックしてみてください。

蓄積した脂肪はからだの末端のほうが落ちやすく中心部分(お腹やお尻)は落ちにくいので、肉づきの変化は手首や足首から現れることが多いです。

 

脂肪燃焼には時間がかかるので、モチベーションを保つためにも、まずはぜひ手足に目を向けてみてください。今回ご紹介した有酸素運動や筋トレなどを続けていけば、お腹やお尻など気になる部分の脂肪にも変化が見えてきますよ。


“はかる”ことを習慣にして、着実に脂肪を燃焼しよう

食事制限だけのダイエットでは、残念ながら脂肪だけでなく筋肉も落ちてしまいます。からだに蓄積した脂肪を減らし、脂肪がつかないように維持するには、脂肪燃焼につながる運動の習慣化が欠かせません。

 

脂肪燃焼のメカニズムも正しい方法もわかったけれど、運動を続けられる自信がない…と感じているなら、ぜひ、体組成計や活動量計を活用し、運動とセットで“はかる”ことを習慣化してみてください。体脂肪率の変化や消費カロリーを数字で見ることでやる気に火がつき、モチベーション維持にもつながります。

運動すること、そして“はかる”ことを習慣にして、着実に脂肪を燃焼していきましょう。

  • 本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。内容は予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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