
2025.12.05

2024年度ウインターカップ覇者である、福岡大学附属大濠高等学校バスケットボール部。そのフィジカルを支えているのが、タニタの業務用体組成計を用いた日々のデータ管理です。 かつては体重を紙に記録するだけだったという同校が、なぜ「毎日の測定」へと舵を切ったのか。それによって選手や指導にどのような変化が生まれたのか。ストレングスコーチの井上さんに、データを活用したコンディション管理と指導の裏側を伺いました。
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福岡大学附属大濠高等学校 バスケットボール部 ストレングスコーチ 井上 航さん
2017年の秋より同校バスケットボール部に携わる。大学時代にアメリカンフットボール部でトレーナー経験を積んだのちチームに参加し、現在8年目。選手個別のトレーニングメニュー作成・指導のほか、栄養指導なども担当し、選手のフィジカル面を多角的にサポートしている。
――はじめに、福大大濠高校バスケットボール部の概要について教えてください。
1951年に創部され、高校総体と選抜大会を合わせて全国優勝8回、準優勝16回の実績を誇るチームです。2024年度ウインターカップでは優勝を果たしました。現在の部員数は33名で、県内はもちろん県外からも多くの選手が集まり、「日本一カッコ良く素敵なチーム」をスローガンに全国制覇を目指し日々の練習に励んでいます。
――タニタの業務用体組成計を導入する以前は、どのような課題がありましたか?
以前は家庭用の体組成計を使用し、週に1回、選手が紙に体重を記録する方式でした。家庭用機器は個別に測定データを登録・保存できる人数が少なく、機器上で選手全員のデータを管理することができません。そのため紙に記録していましたが、実質的に体重の変化しかチェックできていない状態でした。また、測定に時間がかかる上、数値の精度にも疑問があったため、記録した数値を指導に活用することが難しい状況でした。
こうした背景もあり、トレーニングの成果を正しく評価できないことに課題を感じていましたね。
例えば体重が増加した場合、「トレーニングによって筋肉が増えたのか、それとも脂肪が増えたのか」、その中身を定量的に見ることができず、指導の成果をはかる明確な指標がなかった。それが大きな課題でした。
――業務用体組成計を導入したきっかけは何だったのでしょうか?
スポーツ・フィットネス・健康産業の展示会『SPORTEC(スポルテック)』の会場でタニタの担当者さんと出会ったのがきっかけになりました。
業務用体組成計「MC-780A-N」の説明を聞いたところ、「選手のコンディションを詳細に把握したい」と思っていた自分にとって「まさしくこれだ」と感じるものだったため、導入を決めました。
――業務用体組成計の導入後、測定のルールやデータの活用法はどのように変わりましたか?
現在は体育館に機器を設置し、毎日測定することを徹底しています。2年生は朝、1年生は昼、3年生は練習前と、学年別に毎日同じタイミングで測定するように運用を工夫しました。筋肉量などは毎日大きく変動するものではありませんが、「自分のコンディションを意識する」という習慣を選手に身に付けてもらう意図があります。
測定したデータは、タニタのクラウド型データ管理サービス(TANITA FIT)に自動で蓄積されていきます。私を含めたコーチ陣は、毎日全選手のデータをクラウドで確認しますし、選手たちも各自のスマートフォンで数値変化をチェックできるので、セルフコンディショニングの意識づけに役立っています。
――収集したデータを、どのように活用していますか?
活用法の柱は「トレーニングの方向性の確認」と「選手の状態の確認」の2つです。
まず、栄養指導の指標として、ポジションやメンバーごとに理想の体脂肪率目標を設定しています。例えば、ゴール下で戦う選手は15~18%、フォワードは12~15%、ガードは10~12%といった具合です。もちろん個々のプレースタイルも考慮しながら、客観的データに基づいて「脂肪が増えすぎているから有酸素運動を追加しよう」といった具体的な指導を行っています。
さらに、コンディション管理にもデータは欠かせません。「体重」「筋肉量」「体脂肪率」「体水分量」などの変化を注視しています。特に本校は試合や遠征が非常に多いハードな環境にあるため、体重が落ちていれば「最近ちゃんと食べられているか?」と個別にヒアリングしたり、数値の変動から選手の状態を推測し「今週は少しウエイトトレーニングの強度を落とそう」という調整をしたりしています。
――業務用体組成計を活用することで、選手の意識にどのような変化がありましたか?
一番の変化は、選手の「からだづくり」へのモチベーションが目に見えて向上したことです。自分のからだの状態が数値で可視化されるので、「最近、筋肉量が増えているんですよ」と嬉しそうに報告に来たり、逆に「脂肪が増えていて…」といった具体的な相談が選手側から持ち掛けられたりするようになりました。
――コーチや監督の指導の面でも役立っているのでしょうか。
はい、これまで感覚的だった選手のコンディションが、「数値」という共通言語で語れるようになったことが大きいです。最近調子が良い、からだが重いといった選手の主観的な「感覚」に対し、「この数値がこう変動しているからかもしれない」という仮説を立てられるようになりました。
感覚を数値で裏付け・言語化できるようになったのです。調子が良い時の数値を覚えておけば、コンディションが優れない時にそこへ戻すための指標にもなります。
また、業務用体組成計のデータは、私たちが実施する指導の精度も高めてくれています。
以前のトレーニングメニューは決まった時期に一律で更新していましたが、個々の数値に応じて最適化できるようになりました。「順調だから予定通り次のステップへ進もう」「少し伸び悩んでいるから、今のメニューに少し変化を加えよう」「想定より良いペースで伸びているから、当初の予定より早く次のメニューへ移行しよう」といった判断が、データに基づいて行えるのはありがたいですね。
――今後のデータの活用について、展望をお聞かせください。
まずはこの毎日の測定を継続し、データをさらに蓄積することで、疲労管理や栄養指導の質を一層高めていきたいです。将来的には、SMI(骨格筋指数)など、まだ活用しきれていない他の指標の活用法も見出していきたいですね。夏場には練習前後の水分量の変化を確認することで脱水などの状態の確認にも活かせると考えています。
――最後に、導入を検討している指導者に向けてメッセージをお願いします。
「数字から逃げるな、しかし、とらわれすぎるな」ということを伝えたいです。選手の感覚も指導者の感覚も大切ですが、その感覚が正しいかどうかを客観的に判断するために数字はあります。指導者は選手以上に、数字から目を背けてはいけません。私は選手たちにも「数字が伸びなかったら俺の責任だ」と伝えています。指導者も選手も「数字と向き合う」ことで、チーム全体のからだづくりやパフォーマンスの質を高めることにつながります。
タニタの業務用体組成計は、指導者にとっては「指導の方向性が合っているか」を示してくれるツールであり、選手にとっては「日々の練習のモチベーション」を上げてくれるツールです。私自身が1年間使用してみて、その効果を実感しているからこそ自信を持って推奨できます。ぜひ、チームへの導入を検討してもらえたらと思います。
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