
タニタの考える健康
2025.11.05

カルシウム=骨の元になる栄養素、というイメージをもっていませんか? たしかに骨をつくるためにカルシウムは重要ですが、神経伝達やホルモン分泌、筋肉収縮サポートもカルシウムなしには行えません。 私たちが生きていくうえで欠かせない栄養素のひとつであるカルシウムについて、タニタ「コア技術研究所」顧問である女子栄養大学 栄養学部教授・上西先生がレクチャーします。
「カルシウム」に対して、多くの方々は「骨や歯をつくる栄養素」というイメージを抱いているかと思います。実際に、その認識は間違いではありません。
しかし、カルシウムの最も重要な役割は「からだのさまざまな機能を調節すること」です。具体的には、神経伝達やホルモン分泌、筋肉収縮の促進などが挙げられます。私たち人間はカルシウムがないと生きていけないのです。
カルシウムは以下の食品に多く含まれます。日頃から積極的に摂取してください。
(1)乳製品 (2)大豆製品 |
カルシウムの摂取量が不足すると、からだは骨を溶かしてカルシウムを補います。この状態が長く続くと、骨はどんどん脆弱に。やがては骨粗しょう症につながります。
しかも、やっかいなことにカルシウム不足による自覚症状はありません。日本人の約半分はカルシウム不足であることが明らかになっていますから、あなたの骨の健康も、気づかないうちに悪化している可能性があります。
自分がカルシウム不足かどうかを知るためには、まずは以下のチェック表を活用し、食生活を振り返ってみてください。
また、骨粗しょう症のリスクが高い40歳以上の女性は、5年に1度「骨検診(骨密度検査)」を受診しましょう。男性も、背が縮む、背中が曲がるなどの変化があれば受診を推奨します。
がんやメタボの検診と同じように、ぜひ骨検診も習慣にしてください。
近年、豆乳やアーモンドミルクといった植物性ミルクが広く浸透しました。たとえばコーヒーショップでは、ミルクを含むドリンクを頼む際に、牛乳から植物性ミルクに変更する方が増加。中には「牛乳よりも植物性ミルクのほうが健康にいい」と認識している方も少なくないようです。
しかし、植物性ミルクで牛乳と同程度のカルシウムを摂ることはできません。もちろん植物性ミルクにも特有の栄養がありますが、カルシウム不足の解消という観点では、ぜひ牛乳を選んでください。
カルシウムを効率よく摂るには、含有量が多く、また吸収効率にも優れた「乳製品」がおすすめです。多くの乳製品には「調理の手間なく口にできる」というメリットもあるので、ぜひ冷蔵庫に常備し、摂取量をなるべく増やしてください。
先ほど「日本人の約半分はカルシウム不足」と触れましたが、その方々が毎日コップ1杯の牛乳を飲むようになれば、カルシウム不足の方の割合は10%程度まで下がると予測されます。
カルシウムの吸収率を高めるには「ビタミンD」が重要です。ビタミンDの栄養状態は、魚を食べたり、適度に太陽光に当たったりすることで良好に保てます。
骨を強くするには、血中のカルシウムをきちんと骨まで届ける必要があります。その役割を担うのが「ビタミンK」。納豆や緑黄色野菜、海藻などに多く含まれています。
また、骨は刺激を受けることで強くなるため、運動も欠かせません。歩いたり、階段を使ったりといった運動をできるだけ多く行ってください。
知っているようで知らない「カルシウムにまつわるギモン」にお答えします。
成長に最も重要なのは「睡眠」。毎日決まった時間にしっかりと寝て、成長ホルモンの分泌を促すことが必要です。
ただ、カルシウムもこどもの成長に必須の要素のひとつであることは間違いありません。
しかし、一般的には学校給食の終了に伴って牛乳の摂取量が減少し、カルシウムが不足する傾向にあります。
多くの場合、そのタイミングは高校入学時ですが、高校生はまだまだ成長期です。また、高校生のこどもをもつお母さんも骨の健康が気になる年代に入ることがほとんどなので、ぜひ家庭に牛乳を常備し、家族みんなで飲んでください。
骨密度が上昇するのは基本的に20代までで、以降は少しずつ低下します。20代まではより強い骨をつくるために、30代からは骨密度を維持するためにカルシウムが必要だと考えてください。
カルシウムが神経伝達に関わっていることから、そのようにいわれているのではないかと思いますが、イライラの原因がカルシウム不足に由来するとは考えにくく、オーバーな表現であるといえます。
食事で必要量を摂れない場合は、サプリで補うことも可能です。ただし、不足量には個人差があるので、活用時は専門家に相談するのがベスト。最近は管理栄養士が在籍するドラッグストアも増えているので、探してみることをおすすめします。
なお、一度にたくさんカルシウムを摂ると血中のカルシウム濃度が上がり、心臓や血管に負担をかけてしまうリスクがあります。サプリを摂る際は、数回に分けることを推奨します。
私自身は、カルシウムを十分に摂るため、何十年も前から朝食に牛乳とヨーグルトを摂ることを習慣にしています。
しかし、それだけで必要量を摂ることは難しいので、食事をする時、カルシウムを多く含む食材を選択することも意識しています。
たとえば、ハンバーガーを食べるならチーズ入りのものを選択。居酒屋では「ししゃも」をよく頼みます。
また、摂取したカルシウムを効率的に吸収できるよう、ビタミンDの栄養状態を常によくしておくことも心がけています。
健康なからだを維持するために、みなさんもぜひ実践しやすいことから始めてみてください。
「コア技術研究所コラム」では、研究所に所属する先生方に健康について様々なお話を伺っていきます。ご専門の先生ごとに過去発信コラムをまとめてありますのでぜひ参考にしてみてくださいね。
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