
測定
2026.06.17

「筋肉量」は、からだづくりや健康維持のために非常に大切な指標のひとつです。 体重やBMI(体重[kg]÷身長[m]の2乗で算出される体格指数)が変わらないのに体形が変わってしまうのは、「筋肉量」の減少が原因かもしれません。 筋トレを習慣にしている方はもちろん、年齢とともに筋肉の衰えを感じ始めた方にも知ってほしい「筋肉量」の重要性や正しい見方について、タニタ開発部で体組成計のアルゴリズム開発に取り組む担当者が解説します。

株式会社タニタ 開発部 生体科学課 大島 由有希
2023年入社。大学・大学院では生命科学を専攻し、「電気を流すことでからだの状態を把握する研究」に取り組む。
タニタへ入社後は、体組成計のアルゴリズム開発に携わっている。
筋肉と聞くと、からだを動かしたり運動したりする時に必要な「骨格筋(骨にくっついている筋肉)」をイメージする方が多いと思います。
しかし、筋肉には胃や腸といった内臓の運動に携わる「平滑筋」と、心臓を構成する「心筋」も含まれます。運動する時に限らず、さまざまな身体機能を支える、いわば「からだのエンジン」のような重要な臓器が筋肉です。
タニタの体組成計では、
から筋肉量を算出しています。(測定技術の特性上、筋肉量には血液を含む水分が含まれます。)
健康的なからだづくりやボディメイクにおいて、体重やBMIの管理にプラスして、筋肉量を把握することが必要不可欠です。なぜなら、体重やBMIは「からだの重さ」の指標なので、それだけを追っていると「筋肉が落ちているのか、脂肪が落ちているのか」など、からだの中身の変化までは分からないからです。
実際に、体重は「維持」もしくは「減少」していても、誤った食事制限や運動不足、加齢によって筋肉量が減ってしまうケースも多く見られます。
体組成は、大きく「脂肪量」と「除脂肪量(体重から脂肪量を引いた総量で、筋肉量も含まれる)」に分けられます。そのため、体重が変わらない状態で筋肉量が増えれば、自ずと脂肪量やその割合である体脂肪率は減少し、筋肉量が減れば、脂肪量・体脂肪率は増加します。
また、筋肉量が増えると基礎代謝量が上がり、脂肪を燃焼しやすいからだになります。筋肉量が増えることで脂肪量・体脂肪率が減る傾向にあるのはこのためです。
一方で、筋肉量が減ると代謝が落ち、結果として太りやすい体質になってしまいます。
このように、それぞれ別のメカニズムによって起こる変化ですが、筋肉量と体脂肪率は反比例するシーソーのような関係になりやすいといえるのです。
筋肉量が多いことには、さまざまなメリットがあります。
一方、一般的に筋肉量が少ないことにメリットはなく、以下のようなデメリットが生じます。
筋肉量が少ないと、健康維持とボディメイク、どちらを目指すのにもデメリットばかりです。そのためタニタでは、すべての方に定期的に筋肉量をはかっていただき、その維持・向上に努めてほしいと考えています。
多くの場合、筋肉量はからだの成長に合わせて20歳頃まで増加し、その後は維持期を経て加齢とともに徐々に減少していきます。
加齢に伴って筋肉量が低下する主な理由のひとつは、活動量の低下。そしてもうひとつが、筋肉の合成に関わるホルモンの分泌量の減少です。例えば、筋肉の修復や合成を促す「成長ホルモン」や、筋肉に栄養を届けるのに必要な「インスリン」などが挙げられ、これは、活動量を維持していても、ホルモン分泌の変化によって筋肉量が減りやすくなることを意味します。
従って、年齢を重ねるほどに筋肉量の維持をより強く意識することが求められます。
ここで注意したいのは、身長によって理想的な筋肉量(kg)は異なるという点です。
自身の筋肉量が適切かどうかを知るためには、たとえば「SMI(骨格筋指数)」を確認する方法があります。SMIは、世界共通のからだの大きさの指標である「BMI」の筋肉版といえるもの。筋肉量の多寡を評価でき、サルコペニアの重要な診断基準としても採用されている指標です。
そんなSMIは「四肢の骨格筋量(kg)÷ 身長(m)の2乗」で算出でき、以下の表で標準以上であることが望ましいとされています。
部位別に筋肉量をはかれる体組成計を活用すれば、「左腕・右腕・左脚・右脚の筋肉量(kg)÷ 身長(m)の2乗」を計算することで、ご自身でSMIを算出できます。ぜひ活用してみてください。
なお、より簡単に筋肉量の状態をチェックするには、体組成計で測定できる筋肉量と体脂肪率を用いた「体型判定※1」を参考にするのがおすすめです。
以下の図を参考に、「体脂肪率」と「筋肉量」からあなたのタイプを判定してみてください。一般の方は「標準/筋肉質/細身筋肉質/筋肉質」のいずれかに当てはまれば、適切な筋肉量だと考えられます。
※1:一部の機器を除いて、機器による判定表示はありません。
筋肉量を増やすには「筋肉に負荷をかける=トレーニング」が必要です。負荷がかかることでわずかに傷ついた筋線維が、休養や栄養の摂取によって修復されると、筋肉は以前よりも太くなります。この現象は「超回復」と呼ばれます。
筋肉が増えるのには、ある程度の時間がかかります。年齢や性別、トレーニング強度、現在の筋肉量などの個人差がありますが、例えば体重70kgの男性が1kgの筋肉(筋線維)を増やすには、どんなに効率良くトレーニングを行ったとしても1カ月はかかります。残念ながら「トレーニングを行った後に栄養を摂取すれば、翌日には筋肉量が増える」といったことはありません。
もし短期間で筋肉量が増えた場合は、水分による影響を受けている可能性が高いと考えられます。「塩分の高い食事を取ったことで、むくんでいる」「ハードなトレーニングを行い、パンプアップ(筋肉内に血液や水分が一時的に集まっている状態)が起きている」などといった状態です。
一方で、運動習慣があまりない方がトレーニングをすると筋肉から余分な水分が抜けて、むしろ一時的に筋肉量の数値が減ることもあります。
筋肉量の増減に水分がどれくらい影響しているかを見極めるには、「筋質点数」を併せてはかるのがおすすめです。
筋質点数は、筋肉を構成する「筋線維」と「水分や脂肪、結合組織などの筋線維をとりまく組織」のうち、筋線維の密度を点数化した指標です。従って、むくみや炎症などによって水分量が増えると、筋質点数は低くなります。
そのほか、起床して排泄を済ませた後などの決まったタイミングで体組成計に乗ること、トレーニング直後は測定を避けること、長期的な数値の変化を追うことなどに気を付けることで、正確な筋肉量の増減を把握しやすくなります。
「左右同じようにトレーニングを行っているのに、筋肉量に偏りがある」という声をよく聞きますが、それは自然なことです。おもな理由としては、利き手・利き足に多くの負荷がかかりやすいこと、重心に偏りがあることが挙げられます。左右差が極端でなく、日常生活に支障がなければ、あまり気にする必要はありません。
ただし、差が大きい、もしくは広がっていく場合は「からだのゆがみ」を改善したほうがいい場合も。部位別に筋肉量を測定する習慣をつけると、変化に気づけるようになります。
ちなみに私の場合は、筋肉量の数値を把握することに加え、運動を通してからだと向き合うことに取り組んでいます。特に筋トレやピラティスを実践する中で、からだの左右差を筋肉量の数値だけでなく、体感として強く実感しました。
皆さんもぜひ、体組成計で筋肉量をチェックする習慣、からだを動かす習慣をつけて、より充実した健康管理を目指してみませんか。からだの現状や傾向を詳しく把握することは、きっと「未来の自分への贈りもの」になるはずです。
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