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体組成計の新商品に採用された技術「TANITA 4C Technology」ってなに?

2023.06.02

タニタは2022年3月1日、「体組成計インナースキャンデュアル RD-930L」を発売しました。この新商品にはタニタの体組成計技術の粋を集めた「TANITA 4C Technology」が搭載されています。この技術の中核となるのが、医療・研究分野で体組成計測のゴールドスタンダードとされる「4C法」を基準に開発されたアルゴリズムです。TANITA 4C Technologyとは、そして4C法とは一体どういったものなのでしょうか。 今回はTANITA 4C Technologyを搭載した新商品の開発に携わった開発部生体科学課の深山と宮下に、TANITA 4C Technologyや搭載モデルの活用方法などについて聞いてみました。

回答者プロフィール

株式会社タニタ 開発部 生体科学課 課長

介護福祉士 深山 知子
からだの部位ごとの脂肪や筋肉をはかれる8電極体組成計の開発を担当。その後、子どもと女性を中心とした研究に従事。近年は脚の運動機能の状態をはかる機器の開発を行うなど、フレイルをはじめ高齢者を対象とした研究開発に取り組んでいる。
 

株式会社タニタ 開発部 生体科学課 宮下 真理子

入社後バイオセンサーを活用した尿糖計の認知活動に従事。糖尿病関係の研究に取り組み、論文執筆や学会発表を担当する。その後、体組成計や活動量計などの家庭向け商品の企画を経て、現在は体組成計の基礎技術の開発にあたっている。

▲開発部生体科学課の深山(左)と宮下


そもそも体組成計はどのような仕組みなのでしょうか

深山:

体組成計はカラダに微弱な電流を流し、そこで得られた電気抵抗値(インピーダンス)と分析アルゴリズムを利用して体組成を計測します。体重計では主に体重しかはかれませんでしたが、体組成計では体重だけでなく、筋肉量や脂肪量といったからだを構成する組成分の情報までも知ることができます。

 

ときどきお客さまから、『他メーカーの体組成計と乗り比べたら値が違う、どちらが正しいのか』という質問をいただくことがあります。

実際のところ、体重以外の計測項目は、からだの電気抵抗値などから算出した“推定値”(BMIは計算値)です。筋肉の重さを表す“筋肉量”を例にとると、その人の“真の筋肉量”は解剖してはからないとわかりません。そんなことは、できないですよね。

 

そのため、体組成計メーカーではこれまでに収集した生体データを基につくった“推定式=アルゴリズム”を用いて体組成の値を推測しています。

アルゴリズムは体組成計の精度を左右するコア技術と言えるものですが、メーカーごとに異なるため、『乗り比べたら数値が違う』ことが起きうるのです。ちなみにタニタでは国内外合わせて1万5000件以上の生体データを収集し、アルゴリズムを開発しています。

▲「からだの変化を正確に把握して、健康づくりにつなげてほしい」と話す深山


4C法と従来の体組成計技術との違いは

深山:

従来の体組成計で基準としていた第3世代の体組成計測技術『DXA法』では、からだを『筋肉』『骨』『脂肪』の3つの成分で分析していました。

4C法では体組成を『脂肪』『ミネラル(骨)』『タンパク質(筋肉)』『(血液などの)水分』と4つの成分で分析します。

 

DXA法も高精度の分析技術なのですが、カラダの厚み(ボリューム)を考慮できないという技術的な課題がありました。

一方、医学・研究分野で人間を解体する以外で最も正確に体組成をはかる方法と言われているのが4C法です。体組成計技術の第4世代にあたります。

TANITA 4C Technologyではこの4C法を基準とすることで、より真の値に近い体組成を推定しています。

4C法では骨量は『DXA法』、体積(体密度)は『空気置換法』または『水中体重秤量法』、水分量は『重水希釈法』、体重は『体重測定』という4つの分析法を組み合わせることで、DXA法を上回る高い精度で体組成を分析できるのです。

 

また、精度も向上しました。筋肉量の整合性はDXA法が91%なのに対し、4C法では98%に向上しました。とりわけ痩せている人や過体重の人の精度が向上しています。
 


「TANITA 4C Technology」を開発する上で難しかったことは

深山:

技術のキモとなるアルゴリズムを作るには、様々な人のデータを収集することが欠かせません。精度に関わるからです。

このため、太った人や痩せた人、背の高い人や低い人といったあらゆる体形の人のカラダのデータを取得します。さらに若い人から高齢の人まで幅広い年齢層のデータも必要です。タニタが蓄積したデータを基に作りあげました。

 

また、「TANITA 4C Technology」を搭載する体組成計は高周波数と低周波数の2つ以上の周波数の電流で計測するモデルなのですが、周波数を組み合わせて、基準法である4C法と相関の高い結果が得られる数式をどうやって作ればいいのか。作った後も本当に精度が高まるのか、悩みましたね。

 

▲体組成計インナースキャンデュアル「RD-930L」


「RD-930L」の特徴は

宮下:

『TANITA 4C Technology』の採用による精度の高さはもちろんですが、使いやすさにもこだわっています。

▲「RD-930L」の電源は充電池を採用した

 一押しは無線LAN機能を搭載したことです。

従来機種にもデータ通信機能としてブルートゥースに対応したモデルがありましたが、体組成計ではかったデータを送信するにはスマートフォンが必要となります。

そこで、RD-930Lはブルートゥースに加えて無線LANに対応。初期設定を完了すれば、測定時にスマートフォンがなくても体組成計に乗るだけでデータを送信できるようになりました。結果は、通勤中の隙間時間などにアプリで確認できます。

 

また、デザインにもこだわっています。

本体表面の強化ガラスにスモークガラスを採用したほか、インテリアの一部としてリビングなどにも置けるスタイリッシュなフォルムに仕上げました。生活動線に置いていつでも気軽に測定していただきたいという思いです。

本体表面に縦に配した2本の光るラインは、登録者ごとに色を自由に設定できるようにしています。

 

また、電源にはタニタの体組成計では初めて充電池を採用しています。

▲開発部生体科学課の宮下

プロフィール

合同会社サウザンスマイルズ
タニタのグループ会社。社名にもなっている「もうあと1000人を笑顔に」という理念のもと、主要スクリーンリーダーにも対応したウェブサイトの運営やモジュールの開発などを行っています。

サウザンスマイルズ ウェブサイト:
https://www.thousands-miles.com/

  • 本コラムに記載されている情報は掲載日時点のものです。内容は予告なしに変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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