タニタの考える健康
2025.05.07
健康診断で「コレステロール値が高い」と診断を受けたものの、なんとなく放置していませんか? コレステロールは健康維持において重要な役割を果たしており、適正値をオーバーした状態が続くと、重大な病気を招くリスクがあります。 今回は、コレステロールの働きや値が高くなる生活習慣、そして上手にコントロールする方法まで、タニタ開発部の佐野がご紹介します。 ※本記事では遺伝要因によるコレステロール値の高低については扱いません。
株式会社タニタ 開発部 佐野 あゆみ
2011年入社。体組成計に搭載する新指標の作成や、シニア向け健康機器の開発などを担当。筋肉の質やつき方のバランスが「どれくらいアスリートの筋肉特性に近いか」を推定する新指標「MBA判定」の開発にも携わった。
コレステロールは血液中の脂肪成分のひとつで、細胞膜や胆汁酸、性ホルモンなどの材料になる重要な物質です。体内(おもに肝臓)で生成されるほか、食事からも摂取できます。
そんなコレステロールにはいくつかの種類があり、健康診断で着目されるのは「善玉コレステロール(HDLコレステロール)」と「悪玉コレステロール(LDLコレステロール)」です。健康なからだを維持するためには、この2つのバランスが適正でなければなりません。
「悪玉」という名前から「悪玉コレステロールは不要なもの」と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、適正量は必要です。
善玉コレステロールには、血液中の余分なコレステロールを回収し、肝臓に戻す働きがあります。一方の悪玉コレステロールは、肝臓でつくられたコレステロールを全身に運ぶ役割を担っています。
悪玉コレステロールが過剰になる、もしくは善玉コレステロールが過少になると、コレステロールが血中にどんどん溜まって血管壁が分厚くなり、健康に支障をきたす原因に。
なお、具体的な健康被害については、後ほど詳しくご説明します。
健康診断で「コレステロール値が高い」といわれるのは、「総コレステロール」もしくは「悪玉コレステロール」が、以下の適正域をオーバーしている状態です。
種類 | 適正域 |
総コレステロール | 220ml/dl未満 |
LDLコレステロール | 140ml/dl未満 |
Non-HDLコレステロール | 170ml/dl未満 |
総コレステロールには、動脈硬化の直接の原因になりやすいといわれている「超悪玉コレステロール(VLDLコレステロール)」も含まれており、「総コレステロールが高い」場合は「超悪玉コレステロールが高い」可能性もあります。
近年はこの超悪玉コレステロールへの注目度が高まっており、2017年からは「Non-HDLコレステロール(総コレステロールから善玉コレステロールを除いた値)」が脂質異常症の診断基準に追加されました。
コレステロール値が高い状態を放置すると、先にも触れたように血管壁が厚くなる、つまり「動脈硬化」が進行します。すると血栓ができやすくなり、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞を引き起こすリスクが増大。
将来的には、糖尿病の悪化や認知症のリスクも高める可能性があります。
一方で、コレステロールには血管の柔軟性を保つ役割があるので、低すぎても脳出血のリスクが高まります。
そのほかにも、コレステロールが担う機能が十分に果たされないことで、免疫力の低下やホルモンバランスの乱れにつながることも…。
繰り返しになりますが、善玉と悪玉のバランスを適正に保つことが大切です。
1. 脂肪分の多い食品を過剰に摂っている
特に以下の食品を摂りすぎると、悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らすことにつながります。
2. 食物繊維の摂取量が少ない
野菜をはじめとした食物繊維を多く含む食品をあまり摂らないと、余分なコレステロールを十分に排出できなくなります。
3. 運動不足
運動量が少ない生活を続けていると、善玉コレステロールが減って、悪玉コレステロールは増えやすくなります。
さらにその状態が続くとコレステロールを全身に運ぶ機能が衰えてしまい、結果として、血中にコレステロールが溜まりやすくなります。
4. アルコールの過剰摂取、喫煙の習慣がある
善玉コレステロールの減少につながります。
5. 睡眠不足やストレス過多な生活
睡眠不足やストレスが多い生活が続くと、ホルモンバランスの乱れや代謝機能の低下が起こり、結果としてコレステロール値に影響が出ることがあります。
なお、「家族性高コレステロール血症」といって、遺伝的にコレステロール値が高くなりやすい方もいらっしゃいます。この場合は、医療機関で適切な治療を受けることが必要です。
女性は、女性ホルモン(エストロゲン)の働きにより、30代頃まではコレステロール値が高くなりにくい傾向にあります。ただし、閉経後はコレステロール値が上がりやすくなるので、注意が必要です。
一方の男性は、男性ホルモン(テストステロン)がコレステロール値をコントロールする働きが弱いため、生活習慣の乱れの影響を受けやすく30~40代であっても値が高くなりやすい傾向があります。
なお、肝臓のコレステロール代謝機能は、性別に関係なく加齢に伴って低下するもの。年齢を重ねるほど、コントロールへの意識が求められます。
内臓脂肪が多いと、悪玉コレステロールは増えやすくなります。そのため「メタボ体型」の方は、コレステロール値が高くなる傾向に。
また、BMI30以上の肥満の方も、悪玉コレステロール値が上がりやすいことがわかっています。
では、「痩せ型」であれば安心かというと、決してそうではありません。体重は標準以下でも体脂肪が多い「隠れ肥満」の方や、筋肉量が少なく基礎代謝が低い(脂質代謝が悪い)方は、コレステロール値が高くなることもあります。
また、痩せすぎ(BMI18.5未満)な場合も、コレステロールのバランスが崩れるリスクがあります。
コレステロール値を下げるには、先にご紹介した「コレステロール値が高くなりやすい生活習慣」を避けつつ、毎日の生活の中で以下のような工夫を実践するのがおすすめです。
1. 食事の工夫
青魚を定期的に摂る
青魚には、悪玉コレステロールを減らし善玉コレステロールを増やすEPA、DHAが含まれています。
大豆系の発酵食品(納豆、味噌など)を積極的に摂る
悪玉コレステロールの増加を抑える効果が期待されています。
2. 運動の工夫
3. 睡眠不足やストレスの解消
とはいっても、忙しい生活の中で、上記をすべて実践するのはなかなか難しいもの。そこで「エスカレーターではなく階段を選ぶ」「家事をしながら足踏み運動をする」「外出の頻度をできるだけ増やす」など、できることから始めてみてください。小さなアクションも積み重ねれば、数値の改善につながります。
私自身も、なるべく徒歩で移動する、朝ごはんをしっかり食べて夕飯は軽め、かつ野菜多めにするといった取り組みを実践しています。
みなさんもぜひ今日から生活習慣を見直して、コレステロール値を上手にコントロールし、より健康なからだを目指してください。
参考文献:
・山岸 良匡, 脂質異常症, 厚生労働省, 2022.12.23
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-004
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