運動
2025.10.01
「インナーマッスルが重要」とは聞くものの、その詳細はよく知らないという方も多いのではないでしょうか。今回は、インナーマッスルの基本から効果的な鍛え方まで、開発部の佐藤がタニタの視点からご紹介します。
株式会社タニタ 開発部 生体科学課 佐藤 航大
2021年入社。おもに新商品のアルゴリズム開発を担当。また、学生時代はスポーツ科学を専攻。CSCS*保有。その知識を活かし、プロサッカーチームやプロバスケットボールチームなど、さまざまな競技のアスリート支援に関する業務も担当している。
*CSCS(Certified Strength and Conditioning Specialist)…傷害予防とスポーツパフォーマンス向上を目的とした、安全で効果的なトレーニングプログラムを計画・実行する知識と技能を有する人材を認定する資格
インナーマッスルは「深層筋」とも呼ばれ、文字どおりからだの深い部分にある筋肉のことです。全身についていますが、特に体幹や背骨・肩・股関節の周囲に多くついています。
インナーマッスルには、関節を安定させたり、正しい姿勢を維持したり、全身のバランスを保ったりする機能があります。スポーツのパフォーマンス向上を目指す際、おもにからだを動かしている「アウターマッスル」ばかりが注目されがちですが、実はインナーマッスルも重要な役割を果たしているのです。
前述のとおり、インナーマッスルを鍛えると関節が安定するため、脱臼をはじめとしたケガを防ぎやすくなります。
また、関節やからだのバランスが安定することで、よりパワフル、かつなめらかな動きができるように。からだの動かし方や力のかけ方にもムダがなくなり、トレーニングの質の向上も期待できます。
ダイエットを目的に筋肉を鍛える場合は、インナーマッスルよりも大きな筋肉であるアウターマッスルにアプローチするのが効果的です。
ダイエットで重視したい基礎代謝量は、筋肉量が多いほど増加します。しかし、インナーマッスルはアウターマッスルに比べて小さい筋肉のため、インナーマッスルを鍛えても基礎代謝量が上がりにくく、高い脂肪燃焼効果は期待できません。
ただし、インナーマッスルを鍛えることで姿勢の改善が期待でき、ボディラインの見え方が美しくなる可能性はあります。
からだのバランス改善やケガの予防のため、まず試してみてほしいトレーニングを6つ紹介します。
“肩こり”は、からだのバランスが崩れていると起こりがちな不調のひとつ。
肩回りのインナーマッスルを鍛えてバランスを改善することで、肩こりの解消も期待できます。
「肩甲骨クローズ」は、デスクワーカーの方や、肩こりに悩んでいる方に特におすすめの動きです。
ポイントは、とにかく大きく肩甲骨を動かすこと。肩甲骨を引き寄せるときに背筋を伸ばし、開くときに少し猫背にすると大きく動かしやすいと思います。
手軽にできる動きなので、ぜひ仕事や家事の合間に実践する習慣をつけてください。
トレーニング方法:
【STEP 1】
手のひらを内側に向け、肘を伸ばして(伸ばしきる必要はありません)猫背にしながら上に両腕を上げる。
【STEP 2】
手のひらを正面に向けながら肘を曲げ、背筋を伸ばしながら肩甲骨を引き寄せる。
なんだか最近、なにもないところでつまずくことが増えた気がする…と感じていませんか?
“歩く”という日常的な動作をケガにつなげないためにも、自分の脚で歩ける状態を長く保つためにも、腸腰筋のトレーニングが大切です。
腸腰筋というのは、体幹と大腿をまたぐインナーマッスル。姿勢や関節の安定化をサポートするだけでなく、歩いたり走ったりといった移動動作に直接的に影響する重要な役割を果たしています。
ポイントは、足をなるべく高く上げること。負荷を高めたいときは、膝を伸ばしたり、背中をつけて横になれるベンチを使ったりしてください。
頻度の目安は「10回×3セットを週2回」です。
トレーニング方法:
【STEP 1】
イスに腰かけ、端を手でつかんで上半身を固定する。
【STEP 2】
両足をそろえ、膝を上半身に引き寄せるようにしてもち上げる。
ローテーターカフ(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)のトレーニングは、肩の脱臼予防に効果的。
「投げる」「(ラケットなどを)振る」といった動作を伴うスポーツに取り組む方には特におすすめです。
頻度の目安は「15~20回×3セットを週2回」となります。ただし、肩周りが硬い方は痛みを感じやすいので、最初は数百g~1kg程度の重量から始め、くれぐれも無理のない範囲で行ってください。
▲左:フルカン、右:エンプティカン
①フルカン(棘上筋)
トレーニング方法:
【STEP 1】
水を入れたペットボトルやダンベルをもった状態で自然に腕を下ろす。
【STEP 2】
手のひらを正面に向けた状態(親指が上にくる状態)で、肘を曲げずに、肩の高さまで斜め前方向に腕をもち上げる。
②エンプティカン(棘上筋)
トレーニング方法:
【STEP 1】
水を入れたペットボトルやダンベルをもった状態で自然に腕を下ろす。
【STEP 2】
手の甲を正面に向けた状態(親指が下にくる状態)で、肘を曲げずに、肩の高さまで斜め前方向に腕をもち上げる。
▲左:エクスターナルローテーション、右:インターナルローテーション
③エクスターナルローテーション(棘下筋、小円筋)
トレーニング方法:
【STEP 1】
ベンチ台などで横になる。
【STEP 2】
上にくる腕に水を入れたペットボトルやダンベルをもって脇を締め、反対の手で肘をつかんで固定する。
【STEP 3】
脇を締めたまま、上にくる腕を無理のない高さまでもち上げる。
※立って行う場合:
脇を締めて、肘を直角に曲げた状態で前腕をからだの前に持っていく。柱などに巻き付けたチューブ(肘の高さに調整)を手にもち、肘の位置は固定したまま、からだの内側から外側へチューブを引っ張る。
④インターナルローテーション(肩甲下筋)
トレーニング方法:
【STEP 1】
ベンチ台などで横になる。
【STEP 2】
下にくる腕に水を入れたペットボトルやダンベルをもち、肘を直角に曲げる。
【STEP 3】
肘を固定したまま、下にくる腕を無理のない高さまでもち上げる。
※立って行う場合:
脇を締めて、肘を直角に曲げた状態で前腕をからだの外側に向ける。柱などに巻き付けたチューブ(肘の高さに調整)を手にもち、肘の位置は固定したまま、からだの外側から内側へチューブを引き寄せる。
基本的には鍛える順番を意識する必要はありません。
アウターマッスルのトレーニングでもインナーマッスルは動くため、普段から筋トレに取り組んでいる方は、ある程度はインナーマッスルも鍛えられていると考えていいでしょう。
以下に該当する方は、インナーマッスルのトレーニングを積極的に行うことをおすすめします。
私自身は日頃から筋トレをしており、歩行に負担を感じるといった日常生活における不調もないため、現段階ではインナーマッスルを特別意識することはあまりありません。
ただ、これから年齢を重ねるにつれて「いつまでも元気に歩ける、ケガをしにくいからだづくり=インナーマッスルのトレーニング」が重要になってくると考えています。
また、インナーマッスルを含め筋肉は動かさないとうまく機能しなくなり、衰えにつながるもの。
インナーマッスルが衰えると姿勢が悪くなり、自然とアウターマッスルばかり使うようになって、負荷がかかります。それがからだの「こり」や「痛み」につながるので、肩こりをはじめとしたからだの変化を見極めながら、必要に応じてインナーマッスルを鍛えるつもりです。
ぜひみなさんも、ご自身のからだと向き合いながら上手にトレーニングの計画を立ててみてください。
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