
タニタの考える健康
2026.08.26

「必須アミノ酸を取ったほうがいい」と聞いたことはあるけれど、その役割や理由はよく知らない…… そんな方も多いのではないでしょうか。必須アミノ酸は、健康なからだを目指すすべての方に必要な栄養素。正しい知識を身につけて、上手に取り入れましょう。
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株式会社タニタ 開発部 生体科学課 和智 湧斗
2016年に入社し、生体データの解析や体組成計などの商品企画に従事。2020年からは、これまで培った解析技術や統計学の知識を活かし、会社の枠を超えて幅広く活動している。
最近では、体組成のデータからウエストやヒップなどの形状を推定する新しい技術『TANITA Body Shape Analyzer』の開発にも携わった。
アミノ酸は、からだのさまざまな機能をサポートする栄養成分で、たんぱく質の原料にもなります。
人体を構成するたんぱく質の種類は約10万ありますが、それだけのバリエーションを、なんと20種類のアミノ酸でつくっているのです。
「アミノ酸がたんぱく質をつくる」を化学的な観点から少し詳しく説明すると、まずDNAから「必要なたんぱく質の種類と量」について指示が出て、細胞内から特定のアミノ酸が呼び出されます。
その後、アミノ酸同士がくっついて長い紐状になり、やがて折りたたまれて立体的な構造となって、たんぱく質が生まれるのです。
なお、たんぱく質は20種類すべてのアミノ酸がそろわないと合成されないため、バランスよく摂取する必要があります。
アミノ酸は、その状態や特性によって以下のように分類されます。
アミノ酸の不足によりたんぱく質の合成ができない場合、からだは古いたんぱく質や筋肉を分解して、必要なアミノ酸を確保します。
この時、細胞内では「ユビキチン・プロテアソーム系(UPS)」や「オートファジー」と呼ばれる仕組みで、古いたんぱく質をリサイクルして新陳代謝を促しています。これはからだにとってポジティブな働きです。
しかし、エネルギーやアミノ酸の不足が深刻になると、からだは健康な筋肉まで分解し始めてしまいます。
この分解プロセスを「カタボリズム」と呼び、それが過剰に進むと筋肉量の減少や基礎代謝の低下を招くため、ボディメイクの観点からは避けるべき状態です。
カタボリズムは長時間の空腹や激しい運動などによって起こりやすいため、特にトレーニングをしている方はこまめな栄養補給を意識してください。
必須アミノ酸とは、以下9種類のアミノ酸の総称。それぞれがからだの重要な機能をサポートしています。
バリン
筋肉の成長促進、血中窒素のバランス調整
ロイシン
たんぱく質の合成、筋肉の成長・維持、肝機能の向上
イソロイシン
筋肉の強化、疲労回復、血糖値上昇の抑制(ブドウ糖の吸収促進)
メチオニン
ヒスタミンの抑制、肝機能の向上
リジン
免疫抗体・ホルモン・酵素の生成、骨組織の修復
フェニルアラニン
ドーパミン・ノルアドレナリンの生成
トリプトファン
セロトニンの生成
スレオニン
肝臓への脂肪蓄積を抑制、人体の成長促進
ヒスチジン
人体の成長促進
これらの必須アミノ酸は体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります。
そこでぜひチェックしてほしいのが「アミノ酸スコア」。食品の必須アミノ酸含有率を100点満点で点数化した指標で、この点数が高い食材を選んで献立を組み立てることで、効率的に摂取できます。
さらに効率を重視するなら、「アミノ酸スコア」に吸収率(からだの中でどれだけ利用されるか)を加味してつくられた「PDCAAS(たんぱく質消化性補正アミノ酸スコア)」や「DIAAS(消化性必須アミノ酸スコア)」 が役立ちます。
必須アミノ酸を摂取する上では、タイミングも重要です。具体的には、アミノ酸プールが枯渇しないよう、3食きちんと食べることが基本。
トレーニングをしている方は、間食も取るといいでしょう。
また、忙しい生活の中で着実に必須アミノ酸を取るには「ダイエット中は低脂質の鶏胸肉」「調理する時間がないときは納豆」のように、さまざまな選択肢を持つことも大切。
からだの状態や生活スタイルなどに合わせて選べるようになると、継続して摂取しやすくなるはずです。
必須アミノ酸は、食事から摂取するのが基本です。しかし、忙しい毎日の中では、栄養バランスが整った食事を取れないタイミングもあると思います。また、食事から摂取したたんぱく質をアミノ酸に分解・吸収するのには、2~3時間はかかります。
トレーニングをしている場合、その時間を計算して食事を取る必要がありますが、細かな調整はなかなか難しいものです。
そんなときは、サプリメントで補ってもOK! サプリメントに含まれるのは遊離アミノ酸なので、分解の必要がなく、速やかに吸収されます。
さらに、サプリメントは特定の必須アミノ酸を狙って取れるのもうれしいポイント。
「トレーニング時にはBCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)を取って筋肉の分解を防ぐ」といった、効率的な摂取ができます。
一方で、サプリメントは成分が単体で急速に吸収されるため、過剰摂取には注意が必要です。
適量を適切なタイミングで取り入れましょう。
「必須アミノ酸サプリメントはトレーニー向け」というイメージがあるかもしれませんがそれは誤解。
たとえば「トリプトファン」は、炭水化物やビタミンB6とあわせて朝に摂取すると、日中に心身を安定させる「セロトニン」が合成され、それが夜になると睡眠を促すホルモン「メラトニン」へと変換されます。これにより、自然な入眠と睡眠の質の向上が期待できます。
また、仕事や学習のシーンでは、やる気や集中を支える成分の材料となる「フェニルアラニン」を取り入れてみるのもよいでしょう。
このように必須アミノ酸の特性を知り、食事内容や体調の悩みなどに合わせてサプリメントを活用すると、QOLの向上も期待できます。
私は現在10kgの増量を経て重量トレーニングを強化中ということもあり、日頃から必須アミノ酸を意識的に摂取しています。
しかし、必須アミノ酸以外の栄養素もバランスよく取るために、ベースとなるのはやはり食事です。「PDCAAS」や「DIAAS」のスコアが高い食品を選ぶのはもちろん、「朝は4~5品、昼は3品、夜は6品」といったように品数を増やして、できるだけ多くの食品を取ることを意識しています。
みなさんも、ぜひ今日から必須アミノ酸を意識して食事を選んでみてください。
BCAAやプロテインも上手に活用しつつ、一緒により健やかなからだを目指しましょう!
参考文献:
・食品たんぱく質の栄養価としての「アミノ酸スコア」,日本食品分析センター,2005年
https://www.jfrl.or.jp/storage/file/news_no46.pdf
・山口 迪夫,新しいアミノ酸スコアをめぐる問題,栄養学雑誌,1987年
https://www.jstage.jst.go.jp/article/eiyogakuzashi1941/45/2/45_2_85/_pdf/-char/ja
・Burd NA,Beals JW,Martinez IG,Salvador AF,Skinner SK,Food-First Approach to Enhance the Regulation of Post-exercise Skeletal Muscle Protein Synthesis and Remodeling,Sports Medicine, 2019年
https://link.springer.com/article/10.1007/s40279-018-1009-y
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