デジタル温湿度計TT-CU-MVS NEO19モデルの画像

PRODUCT STORY

徹底再現!NEOGEOアーケードきょう体型温湿度計に込めたこだわり

2025.12.03

デジタル温湿度計TT-CU-MVS NEO19モデルの画像

2025年12月に一般発売されたSNK×タニタのコラボレーション商品『デジタル温湿度計TT-CU-MVS NEO19モデル(以下デジタル温湿度計 NEO19モデル)』。アーケードきょう体『NEOGEO』の外観からサウンドまでを忠実に再現した当商品がどのような想いから生まれ、どのようなこだわりを持って開発されたのか、開発を担当した3名にインタビューしました。

プロフィール

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株式会社タニタ 新商品推進部 関口 晃洋
新商品推進部 新規商品グループ所属。2024年2月の入社以降、コラボ商品をはじめとした新規商品の企画を担当する。本プロジェクトの企画担当。クラウドファンディング運営、ゲームタイトルや音声の選定、付属シール調整など、商品の「楽しさ」を幅広く担当。
 

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株式会社タニタ 量産設計部 新規技術課 / 技術5課 上原 克文

2014年入社。入社当初は主に開発部において、商品企画や試作品の開発を担当。プロダクトデザイン、きょう体設計、アプリ開発など、設計構想から試作までの支援を実施している。本プロジェクトでも初期のデザイン構想やサイズ感の検討、試作、音声データの調整なども担当した。

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株式会社タニタ 開発部 山田 裕之

1998年入社。製造現場、センサー部門、生産技術、バイオヘルス部門を経験。現在は設計開発部門に所属し、精度センサーの開発、近年は世界最薄※1ポケッタブルスケールGRAMILなどを手掛ける。本プロジェクトでも主に量産化に向けたメカ設計を担当し、金型設計や外観を損ねない構造の工夫を行った。

 


なぜタニタがNEOGEOとコラボ? きっかけは勝手に作った試作品

――はじめに、『デジタル温湿度計 NEO19モデル』がどのような商品か、改めて教えていただけますか?

関口:
この商品は、タニタの既存の温湿度計『TT-588』をベースに、SNK様のアーケードゲームきょう体『NEOGEO』のデザインとサウンドギミックを搭載したものです。


温度や湿度を正確に計測できるという温湿度計の役割はそのままに、『NEOGEO』の起動音や人気タイトルのゲームサウンドを加えています。ただ眺めるだけではなく、聞いたり触ったりして楽しめる「お楽しみ家電」として企画しました。

使用シーンのイメージ画像

――この商品を開発するに至った経緯を教えてください。

関口:
SNK様とのコラボ第一弾として『THE KING OF FIGHTERS '98』がプレーできる業務用体組成計などを発売し大きな反響をいただきました。そこで「好きを健康につなげる」というコンセプトで、次の商品を模索していたんです。


上原:
そんな時に私がいきなり今回の商品の試作品を作って、会社にもっていったんですよね。3Dプリンターが趣味だったこともあり、勝手に作ってしまったんです(笑)。


関口:
突然のことだったので、最初は驚きました(笑)。ただ、その完成度の高さと熱意にすごく感動して。私は楽しい要素を持つ温湿度計を作りたいと思っていたので、試作品を見たときに「いいものができるんじゃないか」と直感しました。


山田:
『NEOGEO』に熱中していた40代~50代は、私と同世代で、健康を気にし始める年代です。でも、普段はあまり温湿度など生活環境を意識しない方も多い。そうした方々にも「懐かしさ」や「遊び心」をフックにすることで、ご自身のいる環境や健康を意識するきっかけを届けられるのではないか、と。それぞれの想いがひとつになり、こうしてタニタのNEOGEOファンが集まりこのプロジェクトが発足しました。
 

アーケードきょう体の画像

細部に宿る開発陣の“本気”。「音」と「形」を妥協なく再現したNEOGEOの世界観

――みなさんが「ここは譲れなかった」と思う、こだわりポイントを教えてください。

上原:
やはり「きょう体デザインの再現度」ですね。特に苦労したのは、フードの絶妙な曲線です。SNK様から当時の図面データをいただいたのですが、そのまま3Dに起こすだけでは、あの独特の雰囲気が出せません。


最終的なデザインは感覚的な調整を加えながら仕上げました。SNK様に展示されていたきょう体の実物も確認させてもらい、色味などもできる限り近づけています


山田:
技術的にも挑戦でした。実際のきょう体は金属製ですが、今回は量産可能な樹脂製品として設計しています。金属と違って樹脂は、金型から製品を取り出すために「抜き勾配」というわずかな傾斜が必要になります。それぞれ角度の異なる部品同士を組み合わせた際に、違和感なくピタッと合うように金型を調整する作業は非常に苦労しました。

 

また外観を損ねるネジ穴を外から見えないように設計するなど、見えない部分にも細かな技術を詰め込んでいます。

 

――サイズ感も絶妙ですが、どのように決められたのですか?

上原:
デスクに置いた時の「絶妙なサイズ感」を追求しつつ、内部の基板や液晶がきちんと収まる最小サイズを何度もシミュレーションし、試作を繰り返してこの大きさに行き着きました。

人気4タイトルロゴ画像

――音声機能も大きな魅力だと思います。収録音声はどのように選定されたのでしょうか?

関口:
まず、当時のゲームセンターの空気感を一瞬で呼び覚ますために、電池を入れた瞬間の「コイン投入音」と、青ボタン長押しで流れる「NEOGEO起動音」。この2つは絶対に外せないマストな音として搭載しました。


音声は『THE KING OF FIGHTERS '95(KOF '95)』『餓狼伝説SPECIAL』『真サムライスピリッツ』『メタルスラッグ3』という人気4タイトルから厳選しました。
ファンの皆さんが知っているサビの部分や印象的なフレーズを、限られた再生時間の中にどう収めるか。ここは上原さんにかなり頑張ってもらいました。


上原:
「ここで切りたい」「いや、こっちのフレーズを使いたい」という関口さんの熱い要望を聞きながら、ただカットするだけでなく、余韻をもたせるためにフェードアウトの調整にもこだわりましたね。


山田:
曲のほかに、キャラクターボイスも搭載されています。試作機から『KOF '95』の八神庵の「遊びは終わりだ」という音声が流れてきた時は、とても懐かしく思いました(笑)。

――付属品の「帯シール」やパッケージにも強いこだわりを感じます。

関口:
「帯シール」は元データがなかったため、当時のステッカーから、細かい文字まで含めてすべて一から書き起こしました。また購入した方それぞれの思い出のきょう体を再現してもらえるよう、あえて本体に貼らず別添にしました。


山田:
パッケージについては、商品を守る工夫もしています。この形状の商品はタニタでも前例がないものでした。そのため内部の構造をしっかりシミュレーションし、輸送中や落下時の破損や傷を防ぐ設計になっています。箱のデザインは、1990年代のゲーム雑誌の広告やポスターを再現し、SNK様の監修を受けて制作しました。
 

デジタル温湿度計TT-CU-MVS NEO19モデルと外箱

ファンが創り上げた熱狂。クラウドファンディング成功の裏側

――これだけのこだわりを詰め込むと、開発も順風満帆とはいかなかったのではないでしょうか?

関口:
まさにその通りです。プロジェクトが発足し、SNK様へ直談判して商品化の許諾は得たのですが、きょう体の再現度を追求すればするほど、金型費などの「コストの壁」に直面しました。結果として社内から「このままでは商品化は承認できない」という厳しい判断が下されてしまいました。

――プロジェクト存続の危機だったのですね。

関口:
はい。ですが、「これだけこだわり抜いた商品を何としてもファンの皆さんに届けたい」という想いが捨てきれずクラウドファンディングへの挑戦を決めました。


ただ実際にクラウドファンディングを開始してみると、コアなファンの方々に情報をお届けするのがかなり難しいと痛感しました。そこで老舗ゲームセンターのゲーセンミカドさんにご協力いただきコラボ配信を行ったり、タニタ公式YouTubeチャンネルでも『餓狼伝説』のゲーム実況配信を行ったりとさまざまな企画に取り組みました。

――その結果、見事に目標を達成されたのですね。

関口:
はい。当初は本当に達成できるのか不安に思っていましたが、結果として目標金額500万円を大きく超える631万円のご支援をいただくことができました。支援いただいた方々には心から感謝しています。また「懐かしすぎて涙が出た」「本気度がすごい」といった賞賛の声も多くいただき、本当に嬉しかったですね。


このクラウドファンディングの成功を受け「まだこの情報を知らないファンの方々にも届けたい」という想いが強くなり、数量限定ではありますが、一般販売を行うことを決定しました。
 

机に置かれるデジタル温湿度計 NEO19モデルと箱デザイン

日常の“おとも”に「遊び心」を。開発者が商品に込めた想い

――最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。

関口:
この『NEOGEO』をリアルタイムで遊んだ40代・50代の方には、当時の記憶を思い出す存在として持っていただきたいです。また、若い世代の方にはレトロデザインの魅力として楽しんでほしいですね。デスクやリビングに置いて、温湿度計を見るたびにほっこりしてもらえればと思います。
 

上原:
『NEOGEO』をあまり触ったことのない人にとっても、かわいい商品だと思うので、気軽に楽しんでもらいたいです。音楽が流れるというのも、生活の中のちょっとした“彩り”として面白いのではないでしょうか


山田:
私自身、当時ゲームセンターで熱中して遊んでいたので、ステッカーひとつを見ても本当に懐かしいと感じています。自分が遊んでいて、思い入れがあったからこそ、情熱をもってこだわりを詰め込むことができました


やはり当時を知る世代には「懐かしい」という感覚を持ってもらえるのが一番嬉しいです。眺めてもよし、音を鳴らしてみてもよし。それでいて、中身はしっかりタニタの温湿度計である、というギャップも楽しんでいただけたらと思います。

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  • 1 タニタ調べ。2023年3月現在、日本、EU各国、米国で市販されている調理等に使用される家庭用秤との比較。
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