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2025.12.23

「はかるものは救われる」——そう語り、食材から水分量まで徹底的に計量し、そのこだわりと安すぎる価格設定で注目を集めているのが『軽食・喫茶オネット』店主、野見山裕生さんです。 計量の目的は、「料理を楽で美味しくするため」と野見山さんは語ります。今回は、0.1g単位で計量することの効果と、家庭でも実践できるコツをお伺いしました。
INDEX

軽食・喫茶オネット 店主 野見山 裕生(のみやま ゆうき)さん
元公務員という経歴を持つ異色の料理人。
約10年前に飲食の道へ転身し、製菓衛生師の資格取得や料理教室講師などを経て、2023年に「食堂オネット」をオープン。
2025年現在は「唐戸はれて横丁」内に移転し「軽食・喫茶オネット」として営業中。
——まずは『軽食・喫茶オネット』について教えてください。
山口県下関市の『唐戸はれて横丁』に店を構える『軽食・喫茶オネット』は、和洋中のジャンルを問わない軽食やコーヒー、お酒まで楽しめるお店です。もともとは2023年5月に『食堂オネット』としてオープンし、その後現在の場所に移転して店名も新たにスタートしました。
当店の特徴は2つあります。
ひとつは、メニューすべてが500円以下というリーズナブルな価格設定。
そしてもうひとつが、何から何まで徹底的に、「はかれるものは、すべてはかる」こと。私たちのこだわりは反響を呼び、テレビでも特集していただきました。
▲唐戸はれて横丁にある『軽食・喫茶オネット』
——「はかる」ことへのこだわりについて、具体的に教えてください。
当店では、食材や調味料だけでなく、鍋に入れる水の量から、料理やドリンクの最終的な提供量まで計量しています。
特に味の土台となる塩分濃度は、食材と水分の総量に対するパーセンテージで厳密に管理しています。
調理する際には、まず元の食材の重さや水の重さをはかり、その総量から入れるべき塩のグラム数を導き出します。料理ごとに最適な塩分濃度をあらかじめ設定しているので、どんなときも迷わず美味しい味を再現できるのです。
——そこまで、計量にこだわるようになったきっかけは何だったのでしょうか?
きっかけは、料理人・水島弘史さんの著書で「塩は0.1g単位ではかるべき」という言葉に出会ったことです。当時の私は料理の勉強を始めたばかりだったこともあり、素直に「試してみよう」と思ったんです。
すると、はかることで味がバシッと一発で決まることに驚きました。それまでは何度も味見をしながら調整していたのが、計量することでその手間がなくなったのです。この体験が、はじまりでした。
その後、コロナ禍にはじめた料理講座のライブ配信を機に、自身のレシピを言語化・数値化する過程で、現在の「はかるスタイル」を確立していきました。
誇張ではなく、当店の美味しさの秘訣ははかることにあります。本当に「はかるものは救われる」のですよ。
——数あるスケールのなかから、タニタの商品を選ばれた理由を教えてください。
絶対条件は「0.1g単位」で計量できること。これを満たすスケールを探していて、タニタにたどり着きました。
現在は、鍋ごと乗せられる最大計量3kgのモデルである『KD-320』と『KD-321』、サイズが小さく取り扱いやすいモデル『KJ-212』等を用途に合わせて使い分けています。
実は以前、他社商品に"浮気"をして購入したことがあったんです。でも、そこで大きな失敗を経験しました。
——どのような失敗だったのでしょうか?
その他社商品は「3g以上乗せないと0.1g単位の微量モードが作動しない」仕様だったんです。
だから、塩0.5gなどの少量を単体ではかることができなかった。パッケージや説明書をちゃんと読んでいなかった私が悪いのですが、「なぜはかれないんだろう」と困惑しました。
買って失敗して初めてタニタの凄さに気づきましたね。タニタのスケールは0gから0.1g刻みではかれる。
購入しやすい価格帯で、ベストなものはタニタの商品じゃないかと考えています。
——ほかに、タニタのスケールで気に入っている点はありますか?
最近導入した最新機種『KJ-305』は「すぐゼロ」「すぐピタ」※1機能が搭載されていて、その反応速度と安定性に感動しています。
厨房では空調の風やステンレス台のたわみなどの影響で、スケールの数値がピコピコ動いて定まらないことがストレスになりがちなんですが、この機能のおかげでそういった環境下でも数値がバチッと決まる。急いでいるときでも安心して使えます。
「全部これにしちゃおうか」とパートナーと話しているほど、使い勝手は最高ですね。
▲左からKJ-305、KJ-212、KD-320
——家庭でも計量の効果を実感できるメニューはありますか?
どんな料理でも実感できると思いますよ!ただ、そのなかでも…というメニューがいくつかあるので、ご紹介しますね。
最も違いを実感できるのは「パスタ」ですね。多くの人が適当に考えがちな「茹で汁の塩」を計量するだけで、味は劇的に変わります。
日本で売られている市販のパスタソースは、真水で茹でることを前提に味が濃く作られているものもあります。
でも本場イタリアでは、パスタ自体に塩味をつけて、ソースはあっさり仕上げるのが主流です。茹で上がったパスタがそのまま食べておいしい状態になれば、オリーブオイルをかけるだけでも絶品になります。
そこで重要なのが「塩」です。
私の思う基本の黄金比率は塩分濃度1.3%、水300gに対し塩約4gです。ナポリタンならケチャップに塩分があるので1%、カルボナーラなら卵で味が薄くなるので1.5%と、ソースに合わせて数値を調整するとより美味しくなります。
汁物やラーメンのスープも、計量のメリットが大きいメニューです。
感覚で作ると、味見を3~4回繰り返した時点で舌が麻痺し、わからなくなってしまうことが多いんです。私のパートナーも、以前は汁物の味がなかなか決まらないと悩んでいました。
最初から決まった塩分濃度で計量して作れば、味見に頼らず一発で味が決まる。塩分濃度さえ適正であれば、最小限の旨味調味料で十分に美味しく感じられます。
スープ・汁物のなかでも特に『カレー豚汁』は、はかることの恩恵が大きいメニューです。
というのも、オネットのメニュー開発で最も苦心し、計量の重要性を実感したのがカレー豚汁でした。
▲カレー豚汁。ご飯とあわせていただくと絶品
ご飯に合う濃さにすると汁がしょっぱく、汁物として美味しい薄さにするとご飯が進まない。この問題を解決したのも数値管理でした。
汁は「美味しく飲めるギリギリの塩分濃度」に設定し、足りない塩味は「ご飯に塩を入れて炊く」ことにしたんです。ご飯側に塩味を持たせ、口の中で合わさった時に最適な塩梅になるよう、トータルで計算したところ、やっと狙い通りの味になりました。
感覚頼みでは堂々巡りになる問題も、塩分の決定と計量で解決できたのです。
——最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。
計量は、ギターのチューニングと同じだと思っています。
初心者がチューナーなしで練習しても、正解の音がわからないままではうまくならない。料理も同じで、正解の味と数値を知り、それに合わせることで上達が早くなるんです。
「計量はめんどくさい」と思われがちですが、私が計量する一番の理由は「料理を楽にするため」。
はかることで、味見で迷う時間や失敗のストレスがなくなり、簡単になるのです。
当店の価格設定の背景にも「計量」の秘密があります。
はかって作ることで料理がシンプルかつ正確になり、高級食材を使わなくても美味しくできる。「美味しく食べきれる適量」をはかり提供することで、リーズナブルにもなる。
徹底した数値管理が、コスト削減とお客さまの満足度向上に繋がっているんです。
料理初心者の方でも、すべてが数値化できていればプロと同じ味が再現できます。「適量」では伝わりにくいですが、グラム数で言えば誰でもわかる。
美味しい料理をつくりたい人、「料理がしんどい」と感じている人こそ、ぜひ計量してみることを試してみてほしいですね。
▲前菜は100円~、パスタは300円~と非常にリーズナブル
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