音声タイマーTD-435のイメージ画像

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使う人に寄り添う“音声”と“形”を追求。音声タイマー『TD-435』

2025.12.10

音声タイマーTD-435のイメージ画像

2025年12月10日に発売されるタニタの音声タイマー『TD-435』。聞き取りやすい音声や触ってわかりやすいデザインで、視覚にハンディキャップのある方や高齢者、電子音が苦手な方など、誰にとっても使いやすいものを目指した仕様となっています。 この商品がどのような想いから生まれ、どのようなこだわりを持って開発されたのか。本記事では、商品担当者とデザイン担当者へのインタビューを通じて、その開発秘話に迫ります。

プロフィール

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株式会社タニタ 新商品推進部 関口 晃洋
新商品推進部 新規商品グループ所属。2024年2月の入社以降、コラボ商品をはじめとした新規商品の企画を担当する。「音声タイマー」は初めて立ち上げから携わった商品となる。現在も新たな商品を企画中。

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株式会社タニタ デザイン部 東 茂晴
デザイン部所属。2004年にタニタ入社後、主にコンシューマー向けの歩数計や体組成計をはじめ数々のプロダクトデザインとパッケージデザインを手がけるなど、幅広い商品のデザイン開発を担う。


お客様の声を反映した開発。誰もが安心して使えるタイマーを目指して

――『TD-435』の特徴と開発経緯を教えてください。

 

関口:
TD-435のコンセプトは、シンプルで「誰もが使いやすい、音声でお知らせしてくれるタイマー」。一般的に音声タイマーと呼ばれるものですが、TD-435はほかの商品と比較して、音声でお知らせする範囲を広くしました。ボタンも手で触って識別しやすいよう設計しており、視覚に頼らず操作できる機能性が特徴のタイマーです。

 

東:
TD-435開発の背景には、からだにハンディキャップのある方々の利便性向上に取り組んできたタニタグループの企業姿勢があります。これまで、福祉用具認定を受けた音声体組成計『BC-202』の開発や、視覚障がいのある方向けのニュースサイト『thousandsmiles』の運営などを続けてきました。

 

今回の音声タイマーもそうした取り組みの一環としてスタートしたプロジェクトです。ハンディキャップがある方にとって本当に使いやすい商品とはどういうものか、ユーザーテストを通じてしっかり見極めながら開発を進めていきました。

 


こだわりは「音声」と「形」。使う人に徹底して寄り添う機能とデザイン

――はじめに、「お知らせする範囲が広い」という、音声機能について詳しく教えてください。

 

関口:
まずは、機能や操作を音声で説明する「音声ガイド」ボタンが特徴です。このボタンを押すと、ボタンの配置や形状、各機能の紹介まで、すべて音声で教えてくれます。視覚にハンディキャップがあり、取扱説明書を読むのが難しい方も、操作に困らないよう設計しました。


そして、ボタンプッシュ時の「スタート」「ストップ」といった基本的な音声読み上げに加え、タイマーを止めたときには経過時間を、電池残量が減った時には「電池残量わずか」と伝えるなど、あらゆるタイミングでアナウンスする機能を搭載しています。
もちろん、音声は聞き取りやすくて明瞭なものを採用。また、電子音が苦手な方を想定し、アラーム音はクラシック音楽や自然の音など5種類から選べるようにしました。
 

 

――デザイン、「形」へのこだわりはいかがでしょうか。
 

東:
すべての人とって使いやすいものにできるかという点を一番に考えて作りました。特に、TD-435は通常のタイマーよりボタンの数が多いので押し間違いを防げるかが今回重要なポイントだと考えました。


最初の試作品はボタン表面はフラットな形状だったのですが、ユーザーテストで視覚にハンディキャップがある方々に触ってもらったところ多くの方から「ボタンの違いが分からない」という意見が出ました。そこで、指先で直感的に分かるよう、凹凸など立体的な差をつけるべきだと考えました。


そのため、3段あるボタンのうち、中段の時間設定ボタンはへこませて、上下段のボタンは膨らませるかまぼこ型にしました。さらに、最もよく使うスタートボタンには丸い突起、下のリセットボタンには横棒状の突起をつけ、区別できるようにしています。

 


ほかにも、弱視の方でも扱いやすいよう、液晶にはバックライト付きの反転表示を、ボタン表記には黒地に白抜き文字を採用し、視認性を高めました。
こだわりは商品を包装するパッケージにも及んでいて、開封しなくてもパッケージの上から本体のボタンの凹凸が確認できるようにデザインしました。買う前に商品売り場で使い心地がわかるように工夫したんです。ぜひ触ってみてください。
 

音声タイマーのボタンとパッケージの画像

ユーザーテストが導いた発見。多様な“使う人”に寄り添うために

――開発プロセスでは、視覚にハンディキャップがある方に参加いただいて、ユーザーテストを実施されたそうですね。


関口:
はい、この商品をつくるにあたって、ハンディキャップがある当事者の方への調査や検証は絶対に必要だと考えました。そこで、ユーザーテストの経験がある社員に加わってもらい、開発を進めていきました。

いちばん悩んだのが、音声の速さです。視覚にハンディキャップのある方は、スマートフォンの読み上げ機能を使って、メールなどをものすごい速さで聞いているんですね。その理解が甘く、私たちがつくった最初の試作品に対して、音声読み上げが「遅すぎる」とご意見をいただいたんです。

その後、テストを何度も繰り返し、誰にとっても聞きやすくストレスを感じにくいスピードに調整していきました。
 

 

東:
ユーザーテストを通じて、本当にさまざまな気づきがありました。音声スピードの話もそうですし、視覚のハンディキャップと一言で言っても、全盲の方、弱視の方など、様々なタイプがあることもあらためて実感しました。


開発プロセスでは、あらゆる方にとって使いやすい商品を目指して、その気づきを設計に落とし込んでいきました。たとえば、音声ガイド(全盲の方向け)だけでなく、LEDライト(弱視の方向け)や、音を出したくない場所で使えるバイブレーション機能を搭載しました。
 

音声タイマーのイメージ画像

――ユーザーの声から生まれた仕様は、ほかにもありますか?

関口:
はい、たくさんあります。
たとえば「60分ボタン」もその一つです。あん摩やマッサージ師の方からご意見をいただき、60分コースなどの時間設定をボタン一つでできるようにしました。ほかにも、「電池フタをなくすと見つけるのが困難」という声を反映した「本体から完全に取れない電池フタ」や、電池残量を音声で知らせる機能

電池交換時にプラス極・マイナス極が分かりやすいバネの長さ、電池を入れた直後に流れるアナウンスに驚かないための「ピンポンパンポン」という開始音の設定など、多くがユーザーテストから生まれた仕様です。


いただいた声を反映して試してもらうサイクルを重ね、最終的にユーザーテストは複数回実施。細かい部品も含めた試作品は全部で200種類以上にのぼりました。使い心地のよさをとことん求めた結果、発売が当初の予定よりも遅れてしまいましたが、その分良いものができたと思います。
 

音声タイマーの試作品の画像

声が、暮らしを変える。担当者が商品に込めた想いと未来

――最後に、この音声タイマーに込めた想いと今後の展望についてお聞かせください。


関口:
先日、弊社の営業が点字図書館の方にこのタイマーを持っていったところ、非常に評判が良かったと聞いています。ホッとしましたし、きっとこの商品が浸透していくだろうという手ごたえを感じています。視覚に障がいのある方だけでなく、様々なハンディキャップがあるすべての人の暮らしが、このタイマーによって少しでも便利になることを願っています。


東:
この商品を使うことで、お客様の生活がちょっと便利になったとか、何かの役に立つような場面が増えることを願っています。
また、使用してみて「ここは良かった」「もっとこうしてほしい」といったフィードバックをいただけると、さらに商品をアップデートしていくモチベーションに繋がります。
本プロジェクトをきっかけに、ハンディキャップがある方のサポートができるよう、今後も新たな商品の開発を続けていきたいと考えています。
 

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